NPO法人アラジ(特定非営利活動法人Alazi Dream Project)は、西アフリカ・シエラレオネで教育・就労支援を行う日本の国際協力NGOです。教育支援、若年妊娠を経験した女の子の復学支援、包括的性教育、人材育成などを現地法人JaSiLe Foundationと協働で進めています。
山梨県出身で、高校時代にテレビでシエラレオネの少年アラジ君を知り、桜美林大学で国際協力を専攻しました。卒業後、シエラレオネでの子どもの教育支援専門のNPO法人アラジを設立し、代表理事として活動しています。高校2年のとき、内戦後のシエラレオネで「おなかが空いた、でも勉強がしたい」と語る少年アラジ君の映像に出会いました。「努力できることは恵まれている」と実感したことと、何もできない悔しさが原点となり、活動を続けています。

10代シングルマザー復学支援で事務所にてモニタリングを受ける受益者
同団体が抱える社会課題は、貧困の影響で学校に通えない子どもたち、望まない若年妊娠により教育機会を奪われる10代の女の子が多いことです。誰もが安全に学び、「努力すれば夢に近づける」と実感できる環境づくりを目指しています。
農村部の小学校への給食・教材支援、災害や貧困で通学が難しい子どもへの現金給付、10代のシングルマザーへの電子マネー送金による復学支援を行っています。さらに、国際セクシュアリティガイダンスに沿った独自教材で、学校を中心に包括的性教育を広げています。これまで160校約8万人に包括的性教育を実施しました。

学校に貼られた性教育ポスターで学習する生徒たち
教育支援と現金給付、性教育を組み合わせることで、10代シングルマザーの復学と就学継続を後押ししています。一方で、支援を必要とする地域は多く、活動拡大のための資金、人材、現地スタッフ育成が大きな課題です。
性教育後のスピーチコンテストで、男子高校生が「女の子だけが責任を負うのはおかしい」と全校生徒の前で話してくれたことがありました。若年妊娠を「女の子の問題」ではなく、自分たちの課題として捉え始めた変化の瞬間として、下里さんは強く印象に残っています。
今後は、包括的性教育を広く普及させるため、学校の先生を対象とした性教育トレーナー育成を進め、地域全体で若年妊娠を防ぐ仕組みを広げていきたいそうです。また、若者が自立できる未来をつくるため、ITスキルを学べる人材育成事業にも挑戦するといいます。教育と就労支援を組み合わせ、継続的に夢へ近づける環境づくりを目指します。

電子マネー送金支援を受けて復学した10代シングルマザー
世界の課題は、遠い国の出来事のようでいて、私たちの日々の消費や選択ともつながっています。完璧な行動でなくてかまいません。まず知ること、関心を持つこと、周りと話してみることから、一緒に小さな一歩を踏み出していただけたら嬉しいです。
困窮を極めた母子家庭で育った幼少期、下里さんはその基盤があるからこそ淡々と壮大な事業をこなしています。何よりも困難に対する思考が勉強になりました。「母が実業家の男性と再婚し、どんどん穏やかに変化していく様子を見て、人は経済状況や社会保障が充実していたらこんなに変わるのだということを学べた」と言いました。
ご自身が壮絶な苦労をしてきたはずが、冷静に母親の変化を述べるのはすばらしい思考です。やはりそれは下里さんの事業拡大にも良い影響として現れていました。彼女は言います。「学生が望まない妊娠をして、シングルマザーになるという、この社会構造を変えたいのです。この男女差をどうにかしたい」。