特定非営利活動法人シリアの友ネットワーク(シリとも)
団体紹介
特定非営利活動法人シリアの友ネットワークは、2023年のトルコ・シリア大地震で被災したシリアの人々を支援するために結成された任意団体「サダーカ・イニシアチブ」を母体としています。被災者支援を通じて現地との信頼関係を築けたことから、特定非営利活動法人となり、日本とシリアの人々の友好と親善を促進することを目的に活動しています。現在は、学術・文化・芸術の振興、災害救援、国際協力を中心に、日本語教室や文化交流事業、被災者支援など、多面的な取り組みを進めています。

HP http://sadaqainitiative70.com/
該当SDGs 目標番号
インタビュー
理事長 青山弘之さん

日本語教室での集合写真
シリアの被災地支援からはじまる
青山さんは1968年東京生まれ。東京外国語大学を卒業後、一橋大学大学院で博士号を取得し、ダマスカスのフランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て、現在は東京外国語大学教授を務めています。1990年代後半から現地に通算で4年間滞在し、その後も頻繁に訪問しています。専門はシリアの政治・思想・歴史で著書に『膠着するシリア』、ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営するなど、長年公私にわたってシリアの人々に深く関わってきました。
日本とシリアの外交関係樹立70周年(2023年)を機に、両国および両国民の親睦と交流を目的とした取り組みを検討していました。しかし、同年にトルコ・シリア大地震が発生し、当時制裁下にあったシリアへの支援が十分に行われなかったため、一念発起で被災者支援を目的とする「シリア地震被災者支援キャンペーン(サダーカ(友情)・イニシアチブ)」を開始しました。この事業を母体として、2025年に被災者支援に加えて、親睦と交流を目的とする現在のNPO法人を設立しました。

子供のための手芸教室での折り紙制作の様子
第三主体が必要に
青山さんたちは、日本が培ってきた公共道徳観や職業・労働倫理、復興の経験をシリアの人々と共有することで、復興支援を行いたいと考えています。シリアでは、紛争の長期化により教育・養育環境が悪化し、社会秩序や職業意識にも深刻な影響が及んでいます。一方、日本は、戦争や災害からの復興を重ねてきましたが、その背景には倫理観や教育の力があるとされています。シリアでは、政府間や企業間の技術移転が本格化するまで時間を要することが予想されるため、「第三の主体」であるNPOの支援が必要とされています。
日本・シリアの交流・親睦については、現在、現地で日本語教室、日本の手芸教室、日本の昔話の人形劇の操演教室を開講し、現地および日本のメディアで紹介されるなど、日本への関心を高めることに貢献しています。また、被災者支援については、国内で疎外されている北部・中部の住民への義援金の送付や物資の配給を行っています。支援については、小規模であるために、住民の困難な状況が解消されるには至っていません。また、日本でのシリアへの関心が低くなってしまっているため、十分な支援が行えない状態です。

人形劇制作・操演ワークショップ成果発表会での「鶴の恩返し」の上演
「惑星日本」から
成功した点は、日本語教室、手工芸教室、操演教室などを短期間で設立することができたことです。また、シリア国内でアーティストの方々が企画したイベントを手伝えたことも、当初は想定していなかった大きな成果であり、自信につながりました。今後の課題に、日本国内でのシリアへの関心の低さがあります。シリアでは、日本が憧れや好奇心の対象として「惑星日本」と呼ばれるほど高い関心が寄せられています。その期待に応えるためにも、日本でのシリアへの理解と関心を高め、現地の人々の役に立つ活動へとつなげていく必要があります。
シリアでアーティストや関係省庁の職員など、多くの人々から賛同を得られたことは青山さんたちにとって、大きな成果であり、喜びでもありました。被災者支援では、多くの友人がボランティアとして積極的に協力しています。その友人たちの中から現地で法人を設立するのを提案してくれる人も現れ、姉妹組織である現地法人の「日本・世界シリアの友財団」(FSJW)を設立し、私たちの取り組みを全面的に支えてくれています。こうした現地の自発的な支援体制の広がりは、活動の持続性と信頼性を高める大きな力となっています。
日本語や日本文化を学ぶ機会を提供することで、シリアの若者が国際的な視野を身に付け、将来的に日本との懸け橋となる人材へと成長することが期待されます。青山さんたちは、シリアで「親日・知日」の次世代を育てると同時に、日本で「親シリア・知シリア」の次世代を育むことを、最も重要な課題として位置づけています。両国の若者が互いの文化や社会への深い理解を持つことが、長期的な友好関係を築き、将来の協力基盤を形づくる大きな力になると考えています。

日本語教室の修了式
青山さんからメッセージ
メンバーは仕事や研究、学業などを通じてシリアにお世話になってきましたが、このような事業に携わるのは全くの素人です。シリアは日本人にとってなじみが薄い国と思われがちですが、金らんどんすの「どんす」はシリアのダマスク織に由来し、ダマスクローズ、ダマスカス鋼(ダマスカス包丁)、アレッポせっけんなど、シリア発祥の文化や産品は日本の日常に深く根付いています。こうした、日本では十分に知られていないものの、日本に欠かせないシリアの姿を身近に感じていただき、シリアの人々を支援する輪が広がることを願っています。
取材を終えて:公認サポーター 市川潤子
「シリアの人はね、桁違いのおもてなしをしてくれるのですよ。シリア人の知人を訪ねてシリアへ行ったら、あいにく不在だったのですが、そこの隣人が泊めてくれて食事もお風呂も用意してくれたのです」。人間関係の濃さが桁違いで、人を大切にする。そんなシリアの魅力を聞き、戦争とテロのイメージが強かった印象が、ガラッと変わりました。男女別々の結婚式をする、ユニークな地域もあるそうでその不思議な国へ行ってみたくなりました。
<組織概要>
| 団体名: | 特定非営利活動法人シリアの友ネットワーク(シリとも) |
| 所在地: | 〒162-0044 東京都新宿区喜久井町38番地メゾン菊池101 |
| 設立: | 2025年2月 |
| 事業内容: |
シリア・アラブ共和国に関心を持つ一般市民を対象とし、日本およびシリアの法律を遵守しつつ、シリアおよび同国外で暮らすすべてのシリア人と日本人の親睦、両国および両国民の友好と親善の促進に資することを目的とし、
1.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
2.災害救援活動
3.国際協力
の活動などを行っています。
|
| URL: | http://sadaqainitiative70.com/ |