ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

メディアとつくる「気候変動を解決できる社会」

一般社団法人Media is Hope

団体紹介

Media is Hopeは気候変動問題を解決できる社会を実現するために、気候変動に関する報道の強化につながるサポートを行う非営利組織です。「メディアをつくる側もえらぶ側もお互いに責任を持ち、公平で公正かつ自由なメディアと持続可能な社会の構築」をビジョンに掲げ、気候変動の本質的な解決を目指して、メディアや生活者、企業やあらゆるステークホルダーが共創関係を築く架け橋となっています。

メディア関係者や国連などの国際機関、専門家や実践者、市民や若者と共に、気候変動解決に求められる報道の在り方を議論する「気候変動メディアシンポジウム」「みんなでつくろう再エネの日!」などで、関係者同士で共創できる場を提供しています。

一般社団法人Media is Hope
HP http://media-is-hope.org

該当SDGs 目標番号

インタビュー

アシスタントマネジャー 渡辺倫咲葵さん

一般社団法人Media is Hope

出来ることから始めよう

渡辺さんは高校卒業後にマルタ共和国やカナダへ留学し、気候変動への危機意識が芽生え、自治体への働きかけや市民団体での活動などに携わるようになりました。オーガニックカフェのスイーツ担当として働いていた時期から、気候変動問題に関わりたい思いは断ちがたく、Media is Hopeへ転職しました。

留学していた語学学校では、「気候変動」「地球温暖化」など環境問題が授業のテーマになることが多く、それが気候変動問題への危機意識を持つきっかけとなったそうです。「ブラジルのアマゾン火災が世界的に話題になっていた年だったこともあったかもしれません」と言います。

留学先での授業で、先生の話から自分で調べるうちに、気候変動の深刻さに気付き「何かしなければ」と居ても立ってもいられなくなったそうです。問題を知った直後は何をすればいいかも分からず、ただ現状を調べては絶望するばかりだったといいます。

まずは使い捨てプラスチックの使用を減らす、車を使わない、菜食に切り替えるなど自分の生活の範囲でできることから始めたと言います。

数値で見る深刻さ

2015年制定のパリ協定では、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える目標が掲げられています。しかし2024年には既に1.55〜1.6℃まで上昇し、単年で初めて目標を超えました(朝日新聞)。世界の科学者がまとめるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によると、この気温上昇の原因が人間活動であることに疑う余地がないとされています。温室効果ガスの排出が続けば、すでに深刻化している酷暑や豪雨のさらなる激化、海面上昇が加速し、氷床の融解など取り返しのつかない変化が起きる「ティッピングポイント」を超えるリスクもあります。

さらに気候変動が進み作物の収穫が難しくなれば、食糧難や紛争にもつながりかねません。温室効果ガスの排出を抑え、気候変動問題を解決できる社会を構築することが急務です。

Media is Hopeでは「気候変動を解決できる社会を構築する」ことを目標に、さまざまなメディア支援を行っています。メディア向け勉強会の開催、メディアとの連携企画「講談社FRaU×Media is Hope 新聞5社対談」、企業とメディアの交流会、番組や記事の告知を通した視聴者・読者へのアプローチなど。気候変動をメインテーマに扱うメディア、企業、視聴者・読者が「共創」関係になれるよう、それぞれの領域同士をつなぐ架け橋の役割を担っています。

数値で見る深刻さ

代表的な活動としては、気候変動を先進的に報道したいメディア関係者の意見交換や共創の場である「気候メディアイニシアチブ」の運営、そして「みんなでつくろう再エネの日!」の開催があります。Media is Hopeは9月24日を「みんなでつくろう再エネの日」として日本記念日協会に登録し、2023年から毎年イベントを開催。再生可能エネルギーについて学び、楽しみながら、気候変動問題への理解を深め、実際にアクションを起こすことまで一貫して体験できるイベントです。3度目となる2025年は2日間にわたり、50名を超える登壇者を迎える大規模なイベントとなりました。

再エネの日の様子です
再エネの日の様子です

メディア×ステークホルダーの連携が拡大

メディアの方々と連携することで、気候変動に関する報道は増えてきていると感じているといいます。Media is Hopeが協力や出演した報道数だけでも、2023年の109件から2024年には292件に、1年で約2.7倍増加しました。

メディア同士の連携はもちろん、メディア以外の多様なステークホルダーとメディアの連携が生まれはじめたことも、社会に大きなインパクトがあるのではないかと感じているそうです。

2024年から気候変動イニシアティブ(JCI)と共催している企業×メディア交流会は2025年秋まで3度開催し、延べ150名以上が参加しました。気候変動問題の解決に尽力するメディアと企業、双方にメリットのある気候変動報道の新たな仕組みづくりが進んでいます。

また2024年6月には、全国で活躍する気象予報士・気象キャスター44名が、天気予報の枠組みの中で気候変動を発信していくことを宣言した「気候危機に関する気象予報士・気象キャスター共同声明」にも協力しました。宣言発表後、声明賛同者で構成する気象予報士のグループ「チームWFCC (Weather Forecasters against the Climate Crisis)」も結成され、スポーツ界など異業種との連携が広がっています。

気象キャスター共同声明の様子です
気象キャスター共同声明の様子です
気象キャスター共同声明の様子です

ポジティブコミュニケーションを糸口に

渡辺さんの個人的な感想ですが、この団体に入る前はメディアとは遠い存在で、声の届かない「機関」のようだと感じていたそうです。ですがここでいろいろなメディアの方たちと話をする中で、たくさんの方が気候変動解決に向けて、組織の制約や社会の逆風がある中でも、何とか気候変動に関する正しい情報を届けようと尽力していることを知ったといいます。

分からない、顔の見えない存在は、親近感を持つことが難しいものです。しかし批判や敵対ではなく対話や応援など、ポジティブなコミュニケーションをすることでつながりが生まれて、そこから解決に向かっていける可能性を身をもって感じたことは、ずっと心に残っているといいます。

Media is Hopeの今後については、気候変動をメイントピックに扱うメディアや企業が共創できる関係となれるよう、ステークホルダーのつながりの輪を広げていくことはもちろん、「視聴者・読者の行動変容」に向けた報道について学び、提案していきたいと考えているそうです。

近年の調査では気候変動問題に関心のある人も、脱炭素社会に向けて取り組みたい人も90%程度いるにもかかわらず、気候変動に対して具体的なアクションを取っている人はわずか30%強という報告があり、事実を知っても行動に結びついていないという現状がうかがえます。(内閣府「気候変動に関する世論調査(令和5年)/博報堂「第六回 生活者の脱炭素意識&アクション調査」

この状況を改善するためには、問題の現状だけでなく解決策も同時に伝える「課題解決型」の報道が必要です。例えば、脱炭素に向けた新技術や再生可能エネルギーの取材、ミクロの視点で言えば、生活の中でできるパワーシフトや地産地消なども当てはまるかもしれません。現状を知った次のステップとして「私たちには何ができるのか」を伝え、課題解決への機運を盛り上げられるような報道を多くの人と一緒に考え、共創していけたらと思っているといいます。

ポジティブコミュニケーションを糸口に

渡辺さんからメッセージ

情報を得るツールとしてSNSが主流になりつつありますが、同時に誤情報やフェイクニュースも蔓延するようになりました。個人の情報収集が断片化し、得たい情報だけを得ることができる世の中で、社会にとって必要な情報を網羅的に届けられるのがマスメディアの力だと感じています。

「Media is Hope」という団体名ではありますが、気候変動を解決するためには、メディアだけでなくさまざまな立場の人たちが協力し合うことが必要です。

視聴者や読者にとってメディアは遠い存在に思えてしまうかもしれませんが、気候変動に関する報道を見たり、記事を読んだりすることは、メディアを応援することができる方法のひとつです。各メディアのHPに掲載されている「お問い合わせフォーム」から、報道に対する感想や応援を伝えることも、大きな力を持ちます。声を届けることを通して「この問題に関心がある」と伝えることができるのです。

いいメディアを選ぶことの積み重ねが、気候変動報道の活性化につながります。一緒に、気候変動報道に尽力するメディアを応援していきましょう!

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

学生時代から海外に目を向けていた渡辺さんに、こんな質問をしました。「留学先でどんな衝撃を受けましたか?」。すると即座に「一方通行に授業を受けるのではなくて、カナダもマルタ共和国も討論が多かったのです。しかも、テーマが社会課題に関することが多くて。日本から出なかったら、とても考えることのないテーマばかりでしたよ。しかもAIがテーマになったこともあって、私が高校を卒業した頃はまだAIがそこまで浸透していない時代でしたから、もう新鮮でした」。渡辺さんの人生の岐路には、大いなる社会課題があったからこそ、この仕事に就かれたのも納得できます。
<組織概要>
団体名:一般社団法人Media is Hope
所在地:〒111-0051 東京都台東区蔵前3-17-3 蔵前インテリジェントビル8階 GEF内
設立:2022年6月
事業内容: 気候変動を解決できる社会を実現するために、気候変動報道強化に繋がるサポートを行う非営利組織。「メディアをつくる側もえらぶ側もお互いに責任を持ち、公平で公正かつ自由なメディアと持続可能な社会の構築」をビジョンに掲げ、気候変動の本質的な解決を目指して、メディアや生活者、企業やあらゆるステークホルダーが共創関係を築く架け橋となる。また、媒体や系列を超えたメディア連携プラットフォームを立ち上げ・運営をしている。

メディア関係者や国連などの国際機関、専門家や実践者、市民や若者と共に、気候変動解決に求められる報道の在り方を議論する【気候変動メディアシンポジウム】環境省後援【みんなでつくろう再エネの日!】を主催するなど、各ステークホルダーが繋がり共創する場を提供。気候変動やSDGsといった社会課題解決へ貢献するメディア / ジャーナリストの功績を讃える【Media is Hope AWARD】を開催。
HP: http://media-is-hope.org
SNS: Instagram
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