ホームスタート・ジャパンは、家庭訪問型子育て支援をしている団体です。「ホームスタート」は、地域の子育て経験者がボランティアとして妊婦や乳幼児家庭を定期的に訪問し、親戚のように親子と過ごし、一緒に話をしながら家事・育児・外出をする寄り添い型の家庭訪問子育て支援を意味します。プログラム改良と調査研究、全国での支援普及、地域活動の運営支援、支援者交流などに取り組む全国ネットワーク組織。新たな活動拠点の設立サポート、支援者の交流や活動の質の向上、広報や募金活動などを通じて寄り添い型訪問支援の全国普及に取り組んでいます。訪問活動は各地域組織が運営しています。
2007年から同団体の事務局長、2018年からホームスタート・ワールドワイド理事。英国発祥の訪問型子育て支援「ホームスタート」を学び、子育て支援者や有識者と団体を設立、日本版の寄り添い型訪問子育て支援の「地域スキーム」を開発しています。15年間で33都道府県約120地域での社会資源開発に従事し、支援者養成や行政とNPOとの協働活動のほか、子育てを支え合うまちづくりを推進してきました。
親と子の関係性は、生きるうえで心の支えになることもあれば、心の痛みの源になることもあります。年月が重なると関係性を変えることは難しく、青少年期の生きづらさにもつながります。子どもが誕生し親も親として歩み始める時期が、両者の人生に大きな変化をもたらす鍵になるという思いがありました。同時に、住民が参加し、互いにつながるプラットフォームを模索している頃、Home-Startという活動に出会いました。
現代は核家族化が進み、地域のつながりが薄れ、身近に頼れる人がいないことから子育ての負担感が大きくなりがちです。乳幼児とふれあう経験がないまま親になる割合が高く、育児不安、子どもとの関わり方が分からないという悩みが増えているそうです。乳幼児期は親子の愛着形成や子どもの成長発達への影響も大きく、家庭の中で行き詰まり、小さな悩みが大きくなって虐待に至ってしまうケースも後を絶たないといわれます。
ホームスタートには、ボランティアでも安心安全に訪問できるシステムがあり、専門職とは異なる身近なピアサポートとして地域の社会資源につながる入口となります。親子の孤立解消と親自身が自信を取り戻す機会となり、虐待の早期予防にもつながっています。利用は無料で、すべての親子を対象としています。
子どもを真ん中にして
現在、33都道府県の約120地域・団体で活動し、訪問ボランティアも約4,000人。訪問後は、同団体によると、孤立感の解消95%、子どもの心の健康93%、親自身の心の安定92%、子どもの成長発達を促す機会づくり90%と高い充足度割合が得られています。しかし訪問地域は限られているのが現状です。子育て支援が有料化する中、子どもを真ん中にして、地域住民がつながり、支え合う意義を普及し、行政と民間のパートナーシップの推進にも挑戦しています。

支援を受けた人からは「人を頼っていいんだと思えるようになった」との声が多く、ボランティアも「自分でも誰かの役に立てることがうれしい」と笑顔で話します。支援をする側・される側ではない関係性だからこそ、「エンパワメント」が本当に目の前で起きる活動です。
さらに利用者が支援者になる循環も生まれています。他人を頼ることも助けることもしづらくなった今の社会で、「いるだけ支援」の温かさが、子どもだけでなく大人たちの人生にも希望を与えている活動ともいえそうです。
どこに住んでいても、安心して地域の子育て経験者とつながることができるように、全国普及を目指しています。さらに支援対象を妊娠期から学齢期まで拡張する計画です。ちょっとした支え合いが、誰もが安心して子どもを産み育てることができる社会、子どもたちが多様な大人に見守られて育つことができる社会の実現につながると、山田さんたちは信じています。

全国のオーガナイザーの交流研修会
山田さんからのメッセージ
ホームスタートは住民参加の子育て支援としてイギリスで始まり、50年以上の歴史があります。各地域組織には「オーガナイザー」という中核スタッフがおり、訪問活動もボランティアとペアで担当し二人三脚でサポートしています。子どもの数は減っていますが、訪問希望数は増えており、ボランティアを大募集しています! 全国各地で開催する養成講座(参加無料)は、子育て経験があればどなたでも参加可能です。新たな出会いと発見をぜひ一緒に。
取材を終えて:公認サポーター 市川潤子
「子が減るということは、親戚が減るということですよね。近所の集まり、そして親戚の集まりが減ってきていると思いませんか」。山田さんは、開口一番に話しました。そうですねと、深くうなずく間もなく続けてこう言いました。「社会の目、例えばちゃんとしなきゃいけないというようなプレッシャーがあって、世の中におおらかさが無いし、みんな忙しい。だから、なかなか人を頼れなくなっていると思うのです。スマホでの、文字のお付き合いが多い世の中ですが、親戚のおばちゃんみたいに気軽に対面で交流する事を、ホームスタートは大切にしています」。
このような存在が、今の日本には必要だと心に響きました。団体はハブ組織のような役割も発揮していて、保健師や地域包括センター、外国人を結ぶ多文化共生団体、障がい者を支えるサポートセンターなどを紹介し、何度も危機を救ってきました。「この団体がしている助けは、まるで日本の桜のようです。短期間であっという間に美しく咲く、桜のようです」という助けてもらった外国人の言葉がとても印象的でした。私の心にもしっかりと感動が刻まれました。ますますのご活躍を、応援しております!
<組織概要>
| 団体名: | 認定特定非営利活動法人ホームスタート・ジャパン |
| 所在地: | 〒169-0072東京都新宿区大久保3-10-1-B棟2F |
| 設立: | 2007年(任意団体) 2009年12月(NPO法人化) |
| 事業内容: |
家庭訪問型子育て支援「ホームスタート」の普及と支援者の資質向上活動
|
| URL: | https://www.homestartjapan.org/ |