ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

ひとりひとりを丁寧に信じて
若者に第三者として伴走支援

一般社団法人栃木県若年者支援機構

団体紹介

一般社団法人栃木県若年者支援機構は不登校やひきこもりなど、困難を抱える子どもや若者への支援に取り組んでいます。2010年の設立以降、相談支援・学習支援・居場所支援・就労支援など多岐に渡る活動を展開しています。伴走支援の必要性を実感し、子どもや若者たちに寄り添い続ける姿勢が特長です。社会のセーフティーネットを築き、未来の子どもや若者たちの自立と成長を支えるために地域と協力し続けています。

一般社団法人栃木県若年者支援機構
HP https://www.tochigi-yso.org/

該当SDGs 目標番号

インタビュー

代表理事 中野謙作さん

代表理事 中野謙作さん

居場所失い奈落の底へ

1959年東京都生まれ。1995年に高根沢町で学習塾を創業。1999年、不登校やひきこもり支援を目的に、NPO法人とちぎ教育ネットワークを共同設立。2003年から高根沢町教育委員会教育委員を務める。中間的就労の「しごとや」、発達障害者の学習支援「ANDANTE」など、多様な支援事業を展開しています。

2020年には内閣総理大臣賞を受賞。2021年に生活困窮者への学習支援で約400名の子どもをサポート。現在、一般社団法人栃木県若年者支援機構代表理事として活動しています。

中野さんは30年前、東京から栃木県に移り住み、学習塾を開いたことがきっかけで子ども若者支援の道を歩み始めました。そのときに出会ったのが、バスケットボールが大好きで、家族に恵まれた理想的な環境に育ってきたA子さんでした。

A子さんは、高校進学後、競技の成果を出せず、勉強も苦手であったために居場所を失い、やがて家庭内でも荒れ始めました。高校1年の9月に中退し、家を飛び出して繁華街での生活を余儀なくされました。中野さんは、夜中に彼女と話すことが日課となり、けがをしていないか、お金はあるのかと問いかけ続けましたが、彼女を助けることは容易ではありませんでした。その後、A子さんは覚醒剤に関する容疑で逮捕されました。彼女の支援には約6年の月日を費やしたそうです。

伴走支援は続く

A子さんの支援を続ける中で、中野さん彼女を救うには単なる一時的なサポートではなく、 長期間にわたる伴走支援が必要であると痛感しました。支援は、高校や大学の卒業で終わるものではなく、結婚し子どもを持ってもなお続くものです。彼女が再び立ち直り、結婚し、子育てに奮闘している姿を見ると、支援者としての喜びを感じます。

一方で今度は彼女の次女が不登校となり、中野さんたちの寺子屋に通うことになりました。支援は一度に完了するのではなく、人生のさまざまな局面で困難に直面する子どもや若者たちに寄り添い続ける必要があります。家族以外の第三者として寄り添うことで、安心して自分の道を見つけられるようサポートしています。

環境要因を基本として

中野さんが取り組む支援活動の根底にあるのは、子どもや若者が抱える困難の多くが自己責任ではなく、社会の環境要因によるものという考えです。学校や地域、職場の中で、彼らを取り巻く環境が困難を引き起こしています。

この考えを基本に、同団体では三つの柱をミッションとしています。一つ目は、一人ひとりの子どもや若者とその家族を支えること。二つ目は、社会の中に子ども・若者のセーフティーネットを築くこと。三つ目は、子どもや若者を育む地域社会を築くことです。具体的には、若者支援局・子ども支援局・子ども若者支援局という三つの部門を中心に、総合的な支援を展開しています。

特に印象的だったのは、支援していた天涯孤独の女性からの「どうして親になってくれないの?」という問いに真摯に向き合い、親子のように接することが求められた経験です。親族がいない孤立した彼女にとって、団体の存在がどれほど大きな意味を持っていたかは計り知れません。彼女が短大を卒業し、社会人として歩み始めたときの喜びは言葉にできないものだったといいます。

地域全体で支える力に

個人で活動を始めて30年、法人としての活動も16年目を迎え、これまで多くの自治体と連携しながら子ども・若者・ひきこもり支援の体制を築いてきました。しかし、課題もあります。団体を継続させるだけでなく、活動そのものを継続し、さらに発展させていく必要があります。そのためには、県内のさまざまな団体や機関と連携し、ノウハウやミッションを共有しながら活動を広げていくことが求められます。

同団体は、今年度から、栃木県学習支援事業を共同事業体として受託しました。社会の変化とともに、子どもや若者が直面する困難も変わり続けます。中野さんたちは、これまで培ってきた経験と知識を生かし、彼・彼女らに寄り添い続けることで、より良い未来を創り出していきたいと考えています。

この活動は、一人ひとりの子どもや若者の人生を変えるだけではなく、地域全体を支える力となると信じています。困難に直面している子どもたちに寄り添い、社会の中で支え合うことで、彼らが将来、地域を支える存在に成長してくれることを願い、活動を続けていくといいます。

中野さんからメッセージ

困難を抱える子どもや若者は、自分の声を上げられず、孤立しがちです。かつて、 夜中に街へ飛び出した少女に「大丈夫か?」と声をかけ続けた日々を思い出します。彼女を支え続けることで、少しずつ立ち直る姿を目の当たりにしました。今の社会では、スーパーヒーローではなく、私たち一人ひとりがそばに寄り添い、支えることが必要です。地域の皆さん一人ひとりが、ご自身の出来る事を出来る時間で困難を抱える子どもや若者を支えていく。彼らが未来で地域を支える存在に成長するために、どうか皆さまも力を貸してください。

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

穏やかな口調で、現代の課題や今後の展望をお聞かせくださいました。

中野さんの生き方は子どもたちの孤独を放っておけないという問題意識と、それをずっと思い続けている強さを元にしたものだと思います。よく周囲を見れば、人は一人では生きていけないし、決して一人ではないのではないでしょうか。

それらを子どもたちに気づかせるために、栃木県若年者支援機構が続けているように第三者としての伴走支援を支援する立場の人が少しでも意識すると、人の孤独が少しずつ癒せるのではないかとヒントを頂きました。ゴール4の「質の高い教育をみんなに」を長年にわたり届けていらっしゃる中野さんに、感謝でいっぱいです。今後も応援させていただきたい団体でした。
<組織概要>
団体名:一般社団法人栃木県若年者支援機構
所在地:〒320-0032 栃木県宇都宮市昭和2-7-5
設立:2010年4月28日
事業内容: 不登校やひきこもり、発達障害を持つ子どもたちへの学習支援、居場所の提供、就労支援、地域との協力による社会のセーフティーネットの構築など
URL: https://www.tochigi-yso.org/