認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン
団体紹介
1993年に前身のトランスフェア・ジャパンが設立。国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)の構成メンバーとして、日本国内における国際フェアトレード認証ラベルの認証・ライセンス事業・フェアトレードの啓発・アドボカシー活動を行っています。同機構は、公正な取り引きを通じた世界の貧困問題の解決、生産者の持続可能な生活の実現を目指して1997年設立された国際組織です。200万人近くの開発途上国の生産者・労働者が生産した原料を使用したフェアトレード商品が140か国以上で流通しています。環境や生産者・子どもたちに配慮した生産を促進することは、おいしいもの・品質の良いものの持続可能な生産にもつながります。

(C) Mohamed Aly Diabaté
HP https://www.fairtrade.net/jp-jp.html
該当SDGs 目標番号
インタビュー
事務局長 潮崎真惟子さん

歪みを変えたい
子どもの頃から開発途上国の貧困問題に強い関心を持っていました。貧困問題を解決する方法を学ぶため、一橋大学経済学部、同大学院経済学研究科で開発経済学を学び、学生時代にインドやカンボジアでインターンとして数か月働く経験も積みました。デロイトトーマツコンサルティングに入社、企業や政府機関、NPOに対する社会課題解決事業や事業戦略のコンサルティングに従事しました。株式会社オウルズコンサルティンググループの企業のサステナビリティ戦略や人権への対応など、さまざまな支援をするコンサルティングファームの創設に携わりました。2021年からフェアトレード・ラベル・ジャパンの事務局長を務めています。
同法人は、創設者がヨーロッパを訪問し、現地のフェアトレード認証の仕組みを見て、日本に持ち込もうと設立されました。NGOなどが行っていたフェアトレードに企業を巻き込んでいくためには、第三者認証としてのフェアトレードの仕組みが重要だったそうです。
私自身学生の頃にインドの農村で農家の方々を支援する経験をした中で、誇りを持って働く農家達の強さに感銘を受け、自らの未来を切り開くためにビジネスの歪みを根本から変えていくフェアトレードに強く関心を持ったことが今につながっています。
社会課題は世界課題
フェアトレードの取り組む社会課題は、世界の貧困問題や児童労働、環境問題などです。世界では子どもたちの13人に1人にあたる1億3800万人が児童労働の状態にあります(ILOなど、2025年)。児童労働の発生の原因に貧困問題があります。収入が低く子どもを学校に通わせる余裕がないのが現実です。コーヒーやチョコレート、コットンなどの原料は、開発途上国の農家から非常に低い価格で買い取られることが多いことが、問題につながっているといいます。
さらに近年、気候変動の影響で開発途上国でも異常気象が相次ぎ、コーヒーやカカオが大規模な不作に陥っています。現地の農家たちには異常気象に対応するリソースや知識が不足しています。私たちが近い将来、コーヒーやチョコレートを手に入れられなくなるかもしれない。この事態を防ぐためにもフェアトレードは重要になっています。

(C) Fairtrade/Fairpicture
市場規模は独の18分の1
コーヒーやカカオ、コットン、バナナなどの開発途上国の生産者が人権や環境を守って生産した原料を、より高い公正な価格で取り引きする取り組みがフェアトレードです。フェアトレード・インターナショナル(国際フェアトレードラベル機構)の世界にある各拠点と連携し、社会・環境・経済の3側面から成る国際フェアトレード基準を満たす商品の認証制度の運用を行っています。
基準を満たした最終商品には「国際フェアトレード認証ラベル」が付され、消費者がフェアトレード商品を安心して選ぶことができます。お買い物を通した国際協力の仕組みともいえます。
現在世界で開発途上国の約200万人の生産者・労働者がフェアトレードに参加しており、140以上の国でフェアトレード商品が流通しています。日本ではフェアトレード市場規模は2024年に215億円にまで成長しました。日本からは毎年9000万円を超えるフェアトレード・プレミアム(途上国の地域課題解決に使われる資金)が日本企業や消費者の協力により送られています。欧米に比べると日本市場は小さく、ドイツと比べると市場規模は18分の1です。日本ではフェアトレードを広げる伸びしろが大きく、認知拡大や購買拡大に向けて取り組んでいます。

(C) Fairtrade Canada / Juan Nicolás Becerra Manrique
「ポジティブなループを」
開発途上国でコーヒー栽培に取り組む農家から「フェアトレードに参加したことで、家族の生活が大きく変わった。借金も返すことができ、農業を改善して収入を少しずつ上げるポジティブなループを作ることができた。フェアトレードに取り組まない理由はない」との話を聞き、フェアトレードによる変化を実感したと言います。また企業の担当者が熱い思いで自社を動かし、フェアトレードを広げているところには胸が熱くなるそうです。
日本でフェアトレードをさらに広げていくために、今後もさまざまな活動を行われます。2025年5月はフェアトレード月間として「ミリオンアクションキャンペーン」を全国で開催。日本中の消費者・企業・自治体・学生らと一緒に行う普及活動です。産官学で連携したサステナビリティのキャンペーンとして、2021年から開始しています。さまざまなアクターが垣根を越えて連携し、社会課題を解決していくために活動を広げていきたいといいます。世界からフェアトレード生産者が来日して直接話せるイベントも毎年行っています。

潮崎さんからメッセージ
フェアトレードは、誰もが毎日の生活の中で気軽に行える国際協力です。私たち一人ひとりの毎日の選択が、実は回り回って多くの社会課題につながっています。だからこそ、問題の一部になるのではなく、解決の一部になるために、私たちがとれる選択肢の一つがフェアトレードだと思います。
皆さんが一年間であと一つだけフェアトレードチョコレートを買うこと、それだけでも実は社会は大きく変わるのです。企業や社会に対して、消費者はフェアトレードを大切にしているよ、というメッセージになります。是非私たちと一緒に、世界の課題を一緒に解決していきませんか。
取材を終えて:公認サポーター 市川潤子
ビジネスの歪みを変えたくてご活動をされているこの団体は、信念と行動力があります。人の時間や物の価値を搾取する存在は、一体どこから発生するのだろうかと改めて考えさせられる取材でした。更に輪を掛けて、世界では運航費・燃料費・肥料・農薬など、ありとあらゆる物の値段が高騰しています。
だからこそ、今まで当たり前とされてきたことを、私たちは見直す必要があるのではないでしょうか。一人ひとりの自覚の重要性を考えさせられた出会いでした。ゴール10の「人や国の不平等をなくそう」はフェアトレードさんに、託したいです。これからも応援したい団体でした。真の価値を、そして物事の本質を教えていただき感謝しかありません。