株式会社ベジタルアドバンス
団体紹介
社会課題にチャレンジしていくことをミッションと位置付けている企業です。よく「何屋さんですか?」「職業分類は何になりますか?」と聞かれるそうですが、既存の設定には当てはまらない会社だそうです。EC会社でもあり、卸商社でもあり、企画開発設計・製造販売メーカーでもあります。現在は備蓄食、100%素材食などを中心に少人数で事業を行っている「ファブレス企業」です。

HP https://www.vegitaladvance.com/
該当SDGs 目標番号
インタビュー
代表取締役社長 田口勇夫さん

ご経歴と信念
大学卒業後、主に営業職・販売職として東京都内で勤務。30才を過ぎてから母親の看護のため、出身地の群馬県に戻り、建築関連の請負仕事として自営業を開始しました。約10年従事し、体調不良のために閉業。広告会社に7年、福祉作業施設の新事業企画者として7年勤務。同時に環境系NPO法人の理事を務め、株式会社ベジタルアドバンスを60歳直前に設立しました。
きっかけは、東日本大震災の被災者の中で、障がいのある方の死亡率が健常者の2倍を超えたこと。(2012年9月24日・内閣府防災情報 河北新報)2019年の内閣府による「福祉避難所ガイドライン」に適合した、避難者に最適な備蓄食が無かったことからです。1次避難はできたものの、避難先で亡くなる「災害関連死」の原因の一つが栄養バランスの偏りによるものと検証されていました。世界規格の「スフィア基準」よりも災害大国日本の避難生活が見劣りすることから会社設立に向かいました。

ヒントになったのは災害関連死
「いつでも・だれでも。公平な栄養を」を目指して起こしたのが本事業です。経済的な問題の前に、基礎的な食成分の構成についてですが、アレルギー体質の方は反応成分がある食物は食べられません。そのためアレルギー特定原材料を極力使用しない食を製造することを考えました。そしゃく困難であれば柔らかい物や液体を、宗教上の理由があるなら代替品を、そのうえでおいしい食べ物はできないか工夫してきました。
特に顕著に栄養の問題が現れるのが、非常時です。「災害関連死」はせっかく災害から難を逃れたのにもかかわらず、健康を害して亡くなる事です。同社では、緊急事態下でもなるべくどんな人も同じ栄養をとれることを目指して、「栄養系備蓄食」を開発しました。この商品が出るまでは備蓄食はカロリーベースだけで、考えられていました。

申し訳なくて言えぬ思いとは
全国の幼稚園・保育園、高齢者施設などを中心に、田口さんが開発した商品が使われているそうです。多くの方の栄養に役立っていることが、一番の成功点だといいます。「熊本県の水害のときには、微力ながらもご支援させていただくことができました」と話す田口さんの課題は、それぞれの方に適した「多様で最適な食」へのチャレンジです。この会社では常にとどまることなく新しい「社会課題解決型食」の開発を目指したいといいます。
アレルギーの子どもがいる家庭での、被災時の食べ物に関する大変さを関係団体の代表から聞いた話は、深く心に刻まれているといいます。ボランティアや公的支援など、善意の炊き出し支援が行われても、そこにアレルギー成分が入っていると食べられない。申し訳ない気持ちになり、たずねることもはばかられて、「食べて死ぬか、食べずに死ぬか」というところまで心理的に追い込まれた方もいたそうです。
同社は「社会的課題にチャレンジすることを事業化していく」ということを、ミッションとしています。まずは「食」からチャレンジしており、次の課題に設定しているのは「たんぱく質クライシス」だそうです。ちょっと大きな目標になってしまいますが、人口減少は一部の国だけのことで、世界人口は増大し、たんぱく源が不足するという予測が出ています。「できることからチャレンジしたいですね」と田口さんは話しています。

田口さんからメッセージ
大きなパラダイムシフトが急速に起こっています。そしてそれは意外に身近な事象としても存在します。既存の概念や、ルール、過去の成功事例などは一瞬で覆ってしまうこともあります。私たちは根本的な部分からよく考えなければならないと思います。今、目の前にある事物はどんな未来につながっていくのか。AIに聞くのではありません。なぜならインターネット上にあるのは、過去の累積だからです。
取材を終えて:公認サポーター 市川潤子
「東日本大震災も、熊本地震や令和2年豪雨も、能登半島地震も、障がい者の死亡数は健常者の約2倍でした」。田口さんの悔しかった思いが、声から伝わる一言でした。こうして何度も何度も災害が発生して、その度に反省点や改善点を被災地では協議しているのにもかかわらず、変わらない理由はどこにあるのでしょうか。
その答えを是非、これを読んで下さっているあなたと一緒に考えたいです。被災地での尋常ではないストレス。現場の声を反映させない、縦割りのサポート体制。それらはとても考えさせられる内容ばかりでした。ゴール16の「平和と公正を全ての人に」は今回の取材を通して、田口さんにお願いしたいぴったりの言葉でした。だからこそ、今後も応援したい企業でした。ますますのご活躍を、心から願います。
終始穏やかな口調で、優しさあふれるお人柄だった田口さん。これからも、食のこと、日本の農業のこと、そして人生観を是非、聞かせていただきたいです。どうもありがとうございました!