ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

311の教訓を忘れない
事前に備える「防災」を通じて

認定NPO法人かながわ311ネットワーク

認定NPO法人かながわ311ネットワーク

団体紹介

「防災人」を育てる

東日本大震災をきっかけに発足した認定NPO法人かながわ311ネットワークは被災地支援から始まり、神奈川県の「明日は我が身」に備える防災活動へと発展しました。災害に備え、「自分の命を自分で守れる」人を育てる活動をしています。

認定NPO法人かながわ311ネットワーク
HP https://kanagawa311.net/

該当SDGs 目標番号

インタビュー

認定NPO法人かながわ311ネットワーク
代表理事/地域防災事業・災害情報活用事業担当 伊藤朋子さん
専務理事/事務局長 谷本恵子さん
理事/学校防災教育事業担当 石田真実さん

伊藤:東日本大震災が発生した際、被災者および復興支援のため「かながわ東日本大震災ボランティアステーション事業」が設置されました。神奈川県と神奈川県社会福祉協議会、神奈川災害ボランティアネットワークの共同事業として始まったこの活動は2年間続いた後に終了します。しかし、被災地支援はまだ終わりではないと感じていました。そんな中、被災者の方から、被災地で学んだことを神奈川県の防災に生かしてほしいとのメッセージを頂きました。このような経験から、2013年5月に任意団体として「かながわ311ネットワーク」を発足させ、同年10月にNPOになっています。
私たちは主に「災害教育・防災教育事業」「災害復興支援事業」「産業復興支援事業」「観光交流支援事業」「災害情報活用事業」の5事業を展開しています。中でも、災害教育・防災教育事業として行っている学校防災教育および地域防災、災害復興支援事業である緊急支援と広域連携、観光交流支援事業には現在力を入れています。

「何かをしたい」と集まったメンバー

伊藤:私は当初、被災地の情報発信をしようとボランティアに参加しました。311直後の4月末、初めて現場での災害対応を経験し、被害を目の当たりにしたときの衝撃は忘れられません。今はまだ支援を止められないという気持ちが、ボランティアで出会ったメンバーと共に「かながわ311ネットワーク」を発足する原動力になったと思います。

谷本:ボランティア活動を熱心に行っていた母の背中を見て育ち、311以前は盲目の方に対して点訳や音訳、外出時の付き添いなどのお手伝いをしていました。震災では茨城県で母が津波に遭い、叔父が漁船で沖に出て三日三晩帰れなかった経験もあり、被災地での出来事がひと事に思えず、災害支援に足を踏み入れる流れとなりました。

石田:幼少期からボランティアへ参加しており、日常に奉仕活動が存在していました。大人になってからは青少年指導員(青少年の成長を支える地域環境作りの推進者)やジュニアリーダー(地域活動のリーダーを担う青少年)のサポートも経験しています。311発生時も何かをしたいと考えており、神奈川県でのボランティア募集に参加、今の活動につながっています。

多方面から防災にアプローチ

伊藤:私は主に地域防災、マンション防災、人材育成を担当しています。地域防災は、かつて消火活動が中心であった自治会や町内会の活動を地震に備えられるよう指導するべく、2018年から始めた活動です。2024年には横浜市18区のうち9区と協同し、防災講座を実施しました。

多方面から防災にアプローチ

昨今は持ち家ではなく、共有財産であるマンションに住む人が増えています。共有である以上、災害後の修復について独断できないなど特有の課題があるのです。私たちはこうしたマンション防災に先駆的に取り組み、マンション防災リーダー育成講座をオンラインで開講、今では全国に受講生がいます。

多方面から防災にアプローチ

単に防災を伝えるだけでなく、教育ができる人材を育てる活動もしています。団体として規模が大きくなるにつれ活動の幅も広がったため、現在では育った人材にも多く活躍してもらっています。

谷本:観光交流支援事業では、311のあと、東北支援として特産品の紹介を行っていました。最近では半年に一回ほどのペースで、福島を舞台にしたドキュメンタリー映画の放映会を開催しています。被災地を知り、思いをはせ、一人でも多くの方に「明日は我が身」の意識を持ってほしいという思いがあります。

石田:私は学校防災教育、広域連携、緊急支援を中心に担当しています。学校防災教育のモットーは「自分の命を自分で守れる子どもを育てる」です。地域によって災害のリスクは異なるため、自分たちの住む町を正しく理解できるよう教育しています。
広域連携は行政と手を組み実施しています。神奈川県は全国的に見て連携が進んでいるとのお声を頂くのですが、事前に作った体制が災害時に生きるかは被災するまで分かりません。そのため、さまざまな有事を具体的に想像しながら連携を図っています。 緊急支援では2015年の関東・東北豪雨災害より、ボランティアを被災地に届けるボランティアバスの運行をしています。過去、バスは団体別で出していましたが、能登半島地震では他団体と共同運行ができ、成果を感じています。

多方面から防災にアプローチ

防災意識の普及に社会課題

伊藤:あるマンションへ防災教育で伺った際、防災の穴についてアドバイスをしました。数年後、再びお邪魔すると、私の指摘を踏まえ、より厚い対策を講じてくださっていたのです。人に変化を与えられ、やりがいを強く感じられた出来事でした。一方多くのマンションでは、理事会の持ち回り制によりせっかく作った体制が崩れてしまっている、情報伝達手段がいまだ紙媒体中心でアナログであるなど、課題も数え切れません。引き続き活動を続け、課題解決に取り組みます。また、有事に備えるべく多方面との連携も強化していきたいです。

谷本:ありがたいことに、防災ファシリテーター教育を受け、独り立ちして防災を伝える側になった人が増えてきました。しかし、一般の方の防災意識は、コロナ禍で大きく差が開いたと感じます。対面での防災活動が難しい状況でも、防災のパンフレットを配ったり、LINEのグループを作り、情報発信や安否確認について共有したりできた団体もありましたが、まれなケースです。防災意識のレベル感をそろえる課題は解決が非常に難しいですが、低迷してしまった状況を回復できるよう取り組んでいきたいと思います。

石田:中学で防災教育を受け、大学で防災を学ぶ選択をした学生がいたことや、防災ファシリテーター教育を受けた人材が自分の住む地域や職場などで防災活動を引っ張ってくれていることに成果を感じます。とはいえ、学校防災では教育を施したその場で防災を考える機会が終わってしまうケースもあるようです。是非、私たちが防災をお伝えした機会を起点に、活動を継続してほしいです。また、平時の関係作りこそ、有時に助け合える関係のために重要ですので、困り事を言い合える関係を育む大切さもお伝えしていきたいと思います。

伊藤さん・谷本さん・石田さんからのメッセージ

「明日は我が身」で備えましょう

伊藤:有事の際、誰かがあなたを助けてくれるわけではありません。年齢や立場を問わず、自分の命は自分で守る必要があります。日常生活の中でほんの少しでも構いませんので防災について考えて、もしもに備えてほしいです。

谷本:大きな地震が起こる度、災害はどこかひと事に感じる人が多い印象です。ぜひ自分事と捉え、防災について見直すタイミングを作ってもらえたらと思います。

石田:半年でも一年に一度でも構いませんので、あなたの大切な人と、災害をどう乗り越えるか話す時間を持ってほしいです。日頃、防災を考える機会は少ないと思いますが、自分の命は自分で守れるように備えてみてください。

取材を終えて:編集委員 坂本瑛帆

東日本大震災を経験したとき、私は11歳でした。その日はたまたま通院で遠方におり、母と共に帰宅困難者になったのです。余震が続き、不安で睡眠もままならないまま、病院で一夜を過ごしました。しかし、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という言葉通り、年数を経て恐怖の記憶が薄れているのを感じます。南海トラフ地震や首都直下地震など大きな地震の発生確率は年々高まる一方で、災害はどこかひと事に感じている方も多いのではないでしょうか。今回頂いたお話を胸に、まずは自分の身を自分で守れるよう対策したいと思います。
<組織概要>
団体名:認定NPO法人かながわ311ネットワーク
所在地:221-0835
横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2 かながわ県民センター11階
かながわ災害救援ボランティア活動支援室
事業内容:防災教育及び災害復興支援
URL: https://kanagawa311.net/