ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

「助けて」が出せない人へ

特定非営利活動法人えんまる

団体紹介

特定非営利活動法人えんまるは、「困っている親御さんと子どもを支援し、地域社会に貢献する」を目的に長野市で設立されました。2018年に長野県初の訪問型病児保育を開始し、2020年8月からは新型コロナウイルス禍でSOSの声をあげられない困窮・孤立家庭への支援を始めました。長野県立大学と連携し、支援が届きにくい状況や障壁を取り除いた課題解決型の居場所を設営しています。また、声を上げにくい子どもや若者に向けて、生理用品の無償配置やケアリーバー支援にも取り組んでいます。夫婦で共同代表を務めています。2人の「目指す社会」は「子育て中に困ったとき、助けてくれる人がいて解決できる社会」「周囲のつながりがあり、安心して子どもを育てられる環境」「助けられた人が次に支える側に回り、助け合いが広がる社会」と説きます。

特定非営利活動法人えんまる
HP https://www.enmaru.jp/

該当SDGs 目標番号

インタビュー

共同代表 岩間淳さん・岩間千佳さん

岩間淳さん
岩間千佳さん

困ったときに頼れない人へ

えんまるは、長野県内の保育園・幼稚園で11年間勤務後、仕事や育児で忙しいお母さんを支えるため、長野県初の訪問型病児保育を立ち上げました。2018年4月、コロナ禍で孤立するひとり親家庭を支援するため「こども宅食えんまる便」を開始。地域の高校・大学と連携し、女子トイレの生理用品配置や、児童養護施設と連携したケアリーバー支援に取り組んでいます。

取り組みの中で、困ったときに頼れる人がいない方が多く、特にひとり親家庭や困難を抱える家庭、声を上げることができない子どもや若者がいる現状を目の当たりにしました。コロナ禍で状況がさらに深刻化し、「何とかしなければ」と強く感じ、SOSの声を上げられない家庭への支援、子どもや若者、ケアリーバーへの支援に力を入れています。

困窮や孤立によりSOSの声を上げる力が弱い方々は、コロナ禍の長期化と物価高騰の影響を受け、貧困が深刻化し生活が一層厳しくなっています。そのような家庭やヤングケアラー家庭に対して、行政や地域で居場所を作り、手を差し伸べている方がいます。しかし、支援を受ける側に情報が届かず、支援にたどりつくのが難しいケースもあります。この状況を解消するために、支援を通じて課題解決していきたいと考えています。

困ったときに頼れない人へ

食から信頼関係

えんまるは、長野市内で孤立・困窮するひとり親家庭など(ヤングケアラー家庭など含む)に向けて、毎月1回約60世帯180名の家庭に食材を届けています。食をフックに支援の入り口のハードルを下げ、対象の家庭とつながり、家庭の食を守りながら継続的な関係性を作り、時間をかけて丁寧に信頼関係を築き、各家庭が抱える課題を見つけ、各専門機関につなぐなど、必要な相談支援を行っています。

困難を抱える家庭へのアウトリーチ支援の取り組みを、時間をかけて積み重ねることで、最初は隠れていた子どもたちが、靴を履かずに勢いよく玄関を開けてくれるようになりました。親も徐々に笑顔が増え、悩みや困り事を打ち明けてくれるようになっています。家庭とつながり、関係を築く中で、丁寧に取り組むことが支援活動で何より大切だと実感しました。

今後の課題は、支援の継続を最優先に、地域と連携したサポート体制の強化です。特に支援が届きにくい困窮・孤立家庭や子ども・若者、ヤングケアラーへの支援を充実させることです。併せて、取り組みを続けるための資金確保も重要です。

食から信頼関係

玄関で泣き崩れた母

支援を通じて「独りじゃない」と感じていただけた瞬間が多くありました。特に印象的だったのは、あるお母さんへの食糧支援で届ける際、玄関のドアを開けた瞬間にスタッフの顔を見て、そのお母さんが安心して泣き崩れてしまったことです。その方は、毎日を独りで頑張っていることや、誰にも相談できずに抱えていた悩みを涙ながらに話してくれました。また「たくさんの方からのご支援をいただいたことで、独りで子育てをしているんじゃないと思えるようになりました」と感謝の言葉をいただくことが多く、支援を通じて人とつながる安心感を届けられたことを実感しています。

NPOだけでは社会課題を解決できないため、地域のさまざまな方々と連携して取り組む必要があります。そのために、地域の課題や支援の取り組み、支援を受けた家庭の変化を広く発信・可視化し、継続的な支援や新たな支援者とのつながりを生み出してきました。

支援が広がることで、被支援家庭への支援が充実するだけではなく、地域の方々が見守っているというメッセージにもなり、孤立感を防ぐ大きな力となっています。引き続き、各家庭が必要とする支援やつながり先を増やし、地域全体で安心して暮らせる環境を整えていきたいと考えています。

玄関で泣き崩れた母

岩間さんからのメッセージ

自分の生活のすぐそばにある社会課題の解決に向けた取り組みを、地域の企業、団体、そして個人の皆様と一緒に取り組んでいきたいと考えています。それぞれが得意なことや可能なことを持ち寄ることで、より効果的に地域の課題を解決し、活動の広がりや持続可能性を高めることができると思っています。支援の取り組みに関わる地域の皆さんが「自分たちの力で社会を良くしている」と実感できることがとても大切です。より良い社会を一緒に作っていけたらと思っています。

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

ご夫婦で共同代表を務める団体様は、今回が初めての取材でした。おのおのの思いが、こうして支援につながるのはすてきだなと感心しながらのスタートでした。

「支援物資配布の家庭訪問は、1回で玄関のドアは開けてもらえないのですよ。警戒されているのです。1~2か月と時間をかけて、丁寧に向き合っていくのです」。真剣なまなざしで、ゆっくりと淳さんが語られていました。人と向き合うことの苦労は、このエピソードだけでもよく伝わってきました。どのような思いで、支援物資を届けているのか。その思いを受け取ってもらうまでに、これほど時間が必要なのかと驚きました。

ゴール2「飢餓をゼロに」は、えんまるさんの団体が支えてくださっています。とても地道で、なかなか届かぬ思いを、どうかこれからも根気よく伝えていただきたいと心から応援しております。そして何より、この温かさを受け取った人々が、自立の道を歩まれる事を願ってやみません。
<組織概要>
団体名:特定非営利活動法人えんまる
所在地:〒381-2245 長野県長野市三本柳東3丁目302
設立:2014年11月
事業内容:困窮孤立している方々への支援事業
URL: https://enmaru.net/
https://www.enmaru.jp/