ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

食を通じて「取り残さない」支援
逆境からの気付きの支援の形

ami seed

団体紹介

「誰かの笑顔のために、地域でできること」を実行しているボランティア団体です。月1回の食事を大切にした子ども食堂。毎週木曜日の困難を抱えた子どもたちの子ども食堂。ひとり親家庭や生活困窮家庭への食の支援をしています。余剰の食料品、企業の食品ロスの解消にも取り組んでいます。

ami seed
HP https://www.amiseed.com/

該当SDGs 目標番号

インタビュー

代表 清水直美さん

ami seed 代表 清水直美さん

シングルマザー5人の結束

高校卒業後、スポーツ店の販売員として勤務し、22歳で双子をご出産。27歳で町の夏祭りに、実行委員として関わったのをきっかけに、PTA活動などに力を入れたそうです。35歳で離婚し、介護業界へ転身。家族が身体障害者になったことで阿見町障害者福祉協議会理事になりました。コロナの自粛活動と同時にひとり親家庭や生活困窮者支援をする「ami seed」を設立しました。茨城県南・県西のひとり親支援の姉妹団体と共に活動しています。

コロナ禍、多くのシングルマザーに影響が出ると予想し「何ができるかは分からないが、やらないよりはいい」とシングルマザー5人で設立したのがami seed。町内のPTAで知り合ったママ友たちも参加し、フードパントリーからご活動を開始しました。町内には大学・看護学校があり、全国から来る学生のパントリーも開催したことで、学生の生活状況の苦しさに直面しました。SNSで支援物資を呼びかけ、一人でも多くの人の笑顔のために行動しようと決意したそうです。

シングルマザー5人の結束

協働の重要性を実践

SDGsの一つでもある「貧困をなくす」に近づけるよう、地域でできることを地域の人たちと共に支え合える社会を目指しています。「生活困窮家庭や困難を抱えた方、生きづらさを抱えた若者や子どもたちが、置き去りにされない社会づくりを、シングルマザーの当事者だったからこそ、寄り添った支援をしたいに。行政・企業・民間団体の協働で取り組む重要性を実践し続けたい」と話しています。

家庭での食品ロス・企業の食品ロスを回収するフードドライブを行い、ひとり親家庭・生活困窮家庭などのフードパントリーを開催しています。2か所の目的や受益者が違う子ども食堂を運営、子どもたちの学習の場の居場所に毎週取り組んでいます。また、子どもから独居高齢者までの子ども食堂のお弁当・フードパントリーの食糧を宅配しながら、見守り支援をしています。

協働の重要性を実践

食糧支援へ入ったアパートにいたのは

子ども食堂・フードパントリー・学習支援のさまざまな角度からのアクションを取り組む事で、事前に家庭の状況や変化に気付いてあげることができます。特に、生活困窮の妊婦、若年層の妊娠・出産・生きづらさの相談や食料支援が多いそうです。行政との連携や、個人情報の共有などが課題とのことでした。

ある自治体から「食料に困っている母子がいる」との情報で支援のために、夜、訪問すると、生後3週間の乳児だけが取り残されており、警察と家の中に入り、乳児の保護につながったケースがありました。母親はアパートの外に隠れており保護責任者遺棄罪にはならなかったのですが、その日は母子共に警察署に行き、乳児は児童相談所が迎えにくるまで、清水さんが乳児を見ていることになりました。このときの出来事がいちばん印象に残っていると言います。

さまざまな地域の方の困窮や、困難に寄り添い支援してきて思うのは、公共施設や拠点の事務所ではなく、温かい家族のような居場所を作ることと言います。「母子のステップハウス」、身近な民間シェルター的な場所を作りたい、子どもたちや若者がいつでも来られる、居場所も作りたいと願っています。

食糧支援へ入ったアパートにいたのは

市川さんから読者の皆さまへメッセージ

当団体は、コロナ禍で「何ができるかは分からない。やらないよりはいい」というPTAでつながったママ友たちの力が多くの人の心に響いた団体です。地域でできる人ができることをするボランティアがあってもいい。任意団体でもできる。思いがあれば伝わる。どんな困難でも応援してくださる方が一人でも隣にいれば困難は乗り越えられる。誰かの笑顔のために活動している、私たちです。あなたも誰かの笑顔のために行動してみると新しい自分を発見できます。

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

あなたは身内に、金づち・のこぎり・包丁と日替わりの凶器で攻撃されたご経験はありますか? 清水さんの取材は、そこから始まりました。これらのご経験がある彼女は、淡々と事実から語り出したのです。ご自身のお母様が、ギャンブル依存症。その姿を見て育った清水さんもまた、ギャンブル依存症になっていたそうです。「パチンコ屋に行ったら、お母さんがいると思って……」。愛情を求めさまよわれた当時の子ども心が、痛いほど伝わりました。ここから、清水さんのジェットコースター人生の急転直下が速度を上げます。

家族の借金、ギャンブル依存症の母が余命宣告、祖母が認知症発症、そして借金で首が回らなくなり自宅を競売。渦中に立たされた清水さんの思いを、たっぷり聞かせて頂きました。しかしここで、清水さんの底力が発揮されます。明るく笑い飛ばして、こう言いました。「42歳から、大人になれました!」と。それが、このボランティア団体の基盤になったのでした。周囲の温かい助けや、励ましに救われたそうです。経験にはかないませんね。その経験値があるからこそ、たくさんの人々がこの団体へ助けを求めて県外からも訪れています。

ゴール1の「貧困をなくそう」は、清水さんの団体が支えています。これからも人の痛みがよく分かっているami seedさんが、どうか救って差し上げてください。
<組織概要>
団体名:ボランティア団体 ami seed
所在地:〒300-1153 茨城県稲敷郡阿見町実穀1269‐20
設立:2020年4月
事業内容:生活困窮の食糧支援・学習支援・子ども食堂・女性支援
URL: https://www.amiseed.com/