ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

孤独に向かって「誰か」「居場所」
フードバンクで悩みに寄り添う

特定非営利活動法人オドリバ

団体紹介

生活困窮世帯に無料で食糧を提供する「フードバンク」を運営しています。この「小さなゼロ円スーパー」はの利用者は、ひとり親家庭が半分以上を占めており、大家族で食費が追い付かない世帯、ネグレクトで食事を与えてもらえない方、ホームレスの方、日本のセーフティーネットを利用できない外国人の方などが利用しています。自治体によっても生活保護のハードルの高さは変わってきましたが、生活保護は誰しもが簡単に受けられるものではなく、セーフティーネットとして決して万能な機能ではありません。この団体には、生活保護を受けるまでの間の食糧を確保するために市役所から紹介されてくる方もたくさんいるといいます。さらに生活保護を受けられず、または受けないと決めて、このフードバンクを長く利用している方もおられます。

特定非営利活動法人オドリバ
HP https://odoriba.space/

該当SDGs 目標番号

インタビュー

理事 清水明夫さん

理事 清水明夫さん

「人間まみれの生活」から

幼い頃から多動、不注意の傾向があり、チック症にも悩まされました。好きな事には過集中で取り組むのですが、嫌いな事はとことん苦手です。ちゃんとしようとすると必ずヘマをする、発達障害グレーゾーンですね。大学在学中は、心理学・カウンセリング・コーチングなどを学び、500人のセッション修行も遂行しました。様々な相談を受ける中で、その場では悩みがスッキリしつつも、また普段の環境に戻ると同じ悩みを作りそれを繰り返す相談者さんが続出。その要因として、自分らしく在れる環境があまりにも少なすぎることに課題感を感じ、自分らしくあれる居場所づくりとしてシェアハウス運営会社を起業しました。コミュニティ・コミュニケーションを大切にするシェアハウス運営を、言い方を変えればプライバシーのほとんどない密なシェアハウス運営を10年近く行いました。自らも10年間で累計100人以上と共に暮らし、「人間まみれ」の生活を送ってきました。

シェアハウスを通じたコミュニティづくりの経験を活かし、2013年より地元群馬県に戻り地域活動を開始しました。2015年に高崎市議会議員選挙に初出馬し2位当選となりました。2018年に開催した5000人規模の野外音楽フェスでは、一夜にして4,000万円の負債を負い、うつ病になってしまいました。しかし多くの挑戦の中でたくさんの仲間ができ、2019年に行われた2度目の選挙ではトップ当選を果たしました。

2023年4月、議員を引退し、それまで12社の創業と3社の譲渡、400件ほどの事業開発に取り組んだ経験を活かし、代表を務める経営コンサルティング会社を含む5社の役員、4社の顧問、3つのまちづくり団体の運営、2つのNPO法人理事などを務めています。

これらの活動を通じて一貫して向き合っている社会課題は「孤独」であり、人の居場所となれるコミュニティづくり支援を、経営コンサルティングやまちづくり活動、NPO法人の運営、さまざまな形で行っています。

「人間まみれの生活」から

利用者のためNPO化

2018年頃から、こども・おとな食堂やフードバンク活動を行うオドリバ(当時は任意団体)に関わるようになりました。カップラーメンを2日間に分けて食べているご家庭や、おかずが買えずお子さんのお弁当がしょうゆかけご飯しか作れないご家庭などがオドリバを利用しており、シングルマザー世帯が7割近くを占めるのですが、現代においてこんな貧困な世帯が多数あるということに衝撃を受けたのを覚えています。

オドリバはそれまで主体者が身銭を切って運営をしてきており、コロナ禍でフードバンク利用者が急増し需要に対して供給が追い付かなくなり、資金面も枯渇しそうになり、2020年に解散の危機を迎えることになりました。主体者の生活も守らなければいけない状況と、解散することで生活が出来なくなる多くの利用者さんたちが目に見えていたことなどもあり、その状況を打破するため、私が運営側に入り、NPO法人化、助成金獲得、協賛金集めを行い、運営方針の刷新、主体メンバーの入れ替え、などを行い、運営の基盤を整備することになりました。それから4年、決して順風満帆ではありませんが、たくさんの人に支えられて現在も多数の方が利用するフードバンク運営が出来ております。

利用者のためNPO化

自立の本質を考えて

私が取り組んでいる活動はすべて1つの社会課題に向かって取り組んでおります。その社会課題とは「孤独」です。

フードバンクやこども食堂は、表面的に見ると貧困という社会課題に取り組んでいるように見えますが、私の問題意識は、「食糧がない事」より「食糧がない時に相談できる人が周りに居ない事」「お金がない事」よりも「お金がない事により孤独になる事」です。人に迷惑をかけてはいけないという社会通念から、「自立」を目指して「孤立」をする人が増えました。人と助け合える状態こそが本来の「自立」であると考えますが、社会、あるいは人間個々の中に根付いている自立風の孤立観念が、私たちが作りたい社会を実現する上で、一番の障壁であると考えています。

困り事や悩みごとが社会から無くなる事は永遠にないと思いますが、困り事や悩みごとがあった時に、その事を相談できる「誰か」や、そんな状態の自分自身を受け入れてくれる「居場所」があれば、例えつまずいても再起できると思うのです。公助や自助に偏らない共助のネットワークを作る事で、貧困をなくす事はできなくても、貧困があっても助け合って乗り切れる関係性を、地域の中で構築できたらと思っています。

オドリバでは、毎日フードバンクを開放しているほか、毎週水曜日にカレーの炊き出しを行っております。また、毎週水曜日は、夕飯のお弁当の提供も行っております。シングル世帯で働きに出ている親御さんが仕事から帰って家事をする時間がないというお悩みも多数寄せられており、食糧支援だけでなく、時間的な支援にもなればと思い、週に1回行っております。当方を知ってもらうきっかけは、市役所から紹介されて来たり、Twitter等で知ってくれて利用しに来たりという方がほとんどです。利用者のLINEグループを運営しており、新たな食糧が入るとLINEグループで共有し、取りに来てもらうというような形で運営しております。

オドリバを利用し始めた時は生活もままならない状態だった方がご自身で生活ができるようになったという声が聞こえてきたり、数年前にこどもとして利用していた方が社会人になって仕事を頑張っている様子を伺えたりする時が、オドリバをやっていて良かったと感じる瞬間です。

また、ご飯を食べられてない方で当方を利用する方の中には、貧困世帯だけでなく、ネグレクトでご飯を与えてもらえない方などもいらっしゃり、様々な生活困難者が存在することを知りました。

自立の本質を考えて

学習塾に挑戦

家賃や水道光熱費などの固定費が年間100万円以上かかるため、個人や法人会員さまからの会費収入だけではこの金額をまかないことが出来ず、これまで助成金を頼りにしてきましたが、助成金にも期限があり、2025年3月で終了します。

今後は、助成金に頼らなくても自走できるNPO母体を作ろうと思い、当方のフードバンク利用者の方で元々教育関係の仕事をされていた方と共に、現在のフードバンクを運営している建物の中で学習塾を始めることにしました。もちろん、塾講師の人件費はかかりますし、リスクもありますが、どこかに依存した経営状況から脱却できればと思い、新たな挑戦として学習塾を始めます。

学習塾に挑戦

清水さんからのメッセージ

私は「良いこと」をしているつもりも「正しいこと」をしているつもりもありません。たまたまご縁があった方で困っている方がいて、自分に出来ることがあったので、出来ることを出来る範囲でやっていたら、今の活動になりました。

みなさんに対して、もっと困っている人を支援しましょうなんて思いませんし、支援活動をしない人に対して啓蒙活動をするつもりも一切ありません。ただ、例えば、自分に余っているものがあるとして、家の中で眠らせておくよりも、捨ててしまうよりも、必要な人にあげる方が自分の心が豊かにいられる、みたいなことってあると思うのです。そのくらいの感覚で、私はこの活動に取り組んでいます。

なので、私自身も、この活動を誰かのためにという気持ちはもちろんありますが、なるべく、自分のためにやろうと心がけています。そうでないと、自分自身がすり減ってしまったり、他人に対して自分の正義を押し売りしてしまったり、他人をジャッジするような人間になってしまいそうで、そういう人間になりたくないので、そのような心掛けをしています。なので、特にこれを読んでいる方に伝えたいことは大してないのですが、伝えたいことがあるとしたら、もし余っている食糧や、余っているお金があったら、ください!ってところですかね。

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

「何かをしてあげる事に、酔っ払っていてはいけないと思うのです」

全国には素晴らしいご活動をされているNPO法人は沢山ありますが、この謙虚な姿勢を言葉に出している人にはなかなか出会えません。清水さんの優しいお人柄もありますが、幼少期からチック症で苦しんできた背景だったり、シェアハウスでコミュニティーリーダーを育て上げたり、4,000万円の負債を抱え「俺のせいで、お世話になった会社がつぶれてしまうかもしれない」と悩みうつ病を発症した等、様々なご経験あってこその言葉だなと感服しました。自身も含め、大切に心掛けたいキーワードを頂けた気がします。

取材中は、少年の様にはにかむ無邪気なお話もあれば、お仕事に対する鋭い視点もあり、清水さんの人間力を文字数制限がある中で書くのは困難を極めました。

ゴール10の「人や国の不平等をなくそう」は、善意や正義を押し売りせず心に寄り添う清水さんにこそ、先陣を切って頂きたいです。これからも、ふるさとの群馬県をどうか守って下さい。そんな願いと感謝に満ちた取材でした。ずっと応援したい団体です。
<組織概要>
団体名:特定非営利活動法人オドリバ
所在地:〒370-0004 群馬県高崎市井野町274
設立:2020年12月24日
事業内容:フードバンク、炊き出し、お弁当配布、グッズバンク
URL: https://odoriba.space/