ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

すべてが関わるコミュニティづくり
自然を介し、垣根を越える

特定非営利活動法人 NPOフュージョン長池

特定非営利活動法人 NPOフュージョン長池

団体紹介

公園管理・環境教育-

2025年で創立25周年を迎えたNPOフュージョン長池。阪神淡路大震災を経て、地域のつながりが希薄であることへの危機感から始まった活動は、公園管理をはじめ、環境関連施設の運営、環境教育、イベントの企画運営など多岐に渡ります。自然を介して、性別や世代、障害の有無などの垣根を越えて、全ての人が関われるコミュニティの場を提供しています。

特定非営利活動法人 NPOフュージョン長池
HP http://home.pompoco.or.jp/

該当SDGs 目標番号

インタビュー

NPOフュージョン長池 長池公園園長 小林健人さん

NPOフュージョン長池 長池公園園長 小林健人さん

公園で地域のハブに

私たちは、主に八王子市内の81公園の管理と「あったかホール」(八王子市余熱利用センター)にある「クールセンター八王子」「いきもの展示室」の運営をおこなっている団体です。

1995年、阪神淡路大震災が発生し、災害時に助け合える地域のコミュニティづくりが話題になりました。かつて由木村であった多摩ニュータウン西部のこの地で、住民同士の横のつながりを生み出そうと発足したのがNPOフュージョン長池です。当時はタウン誌の発行や地域の祭りを主催していました。活動を継続する中で次第に名が広まり、八王子市から新しくできる長池公園内の自然館の運営を任されました。その延長として周辺の公園の指定管理者にもなり、公園管理が大きな事業の一つとなっています。近年では環境系施設の運営業務も加わり、ますます団体としての規模が拡大しました。

団体設立当初から活動内容は変化しましたが、人と人との繋がりを生み出し、地域を活性化させる目標は変わっていません。現在、私たちは公園や施設の管理をおこない、地域の人々のハブとして町全体を豊かにするべく活動しています。

公園で地域のハブに

やりがいは「人の成長」

多摩ニュータウンで生まれ育った私は、幼い頃からずっと自然や生き物と触れ合ってきました。将来、動植物関係の仕事に就く以外は考えられないほど、昔から生き物が好きだったのです。現在は長池公園の園長として、動植物について伝える環境教育を中心に、公園の手入れなど現場での作業も行っています。毎日忙しいですが、自然と関わりながら地元に還元できる仕事なので、とても楽しいです。昔お世話になった人と再会できる機会もあり、喜びを感じています。

勤続年数が長くなったからこそのやりがいもあります。最近、かつて教育を受けた学生が、大人になって環境業界で働きたいとやって来てくれました。私は、動植物はこちらから働きかけると比較的すぐに答えを返してくれる存在だと感じています。しかし、環境教育は投資活動なので、手をかけてもすぐには結果が返ってきません。そんな中で、成長してこの業界に来てくれる人がいるというのは、自分の施した教育が記憶に残っていてくれたからこそだと思います。人の成長を見られ、自分はいい仕事をしていると強く感じられた出来事でした。現在も学生の授業を受け持つ機会が多いので、子供たちの将来に期待を膨らませながら環境教育を続けています。

やりがいは「人の成長」

今の人に合った解決を

NPOフュージョン長池の設立当初から、活動の主軸は地域のコミュニティづくりです。しかし、課題は時代に合わせて変化しています。昔は引っ越してきた人たちや一人暮らしの高齢者など、地域との繋がりが希薄な人たちを減らしたい思いが強くありました。それは災害時など、もしものときに対する危機感があったためです。一方、現在は長年の活動の結果、人と人を繋ぐ課題は次第に解決しつつあると思います。代わりに、住民の高齢化による公園の存在意義や生活スタイルの変化における里山との関わり方などを再考する必要性を感じています。つまり、町と生活する人々がミスマッチを起こしている状態なのです。公園は遊びの場から憩いの場にする、里山は暮らしとは違った価値を見出し活用する場にするなど、今の人や時代に合った形で解決していきたいと思います。

また、団体内部の課題として、事業拡大に伴い、職員同士の意見交換の場が減ってしまったことが挙げられます。対外活動が活発になった分、今度は内部の結束力をより強めていきたいです。長期間続いているボランティア活動にも、活動内容の単調化の課題があります。2017年から始まった「パークキッズレンジャー」(地域の方々と職員が共に生物調査や環境保全活動をする取り組み)という活動があるのですが、今では参加者だけで自走できそうなほど地盤の固い活動です。NPOとして、自分たちの手が加わらなくとも活動が継続されることは成功とも言えるのですが、変化を与え、より活発化させていきたいと考えています。

今の人に合った解決を

小林さんからのメッセージ

公園で待っています

ぜひ、近くの公園を訪れてみてください。公園はいつでも開いていて、何歳の人が行っても楽しめる場所ですよね。SDGsの理念は「誰一人取り残さない」ですが、私はそれを場所として体現しているのが公園だと思います。どこにでもあって当たり前のように感じやすいですが、貧困の差や障害の有無、年齢も関係なく自由に行けて楽しめる公共の場として、公園は貴重な場なのです。公園に行って、自然と触れ合ったり、癒されたり、誰かと繋がったり。そんな何気ない行為がSDGsの取り組みの入り口になるでしょう。そこから更に自然に興味をもち、ボランティアやイベントに参加するなど行動に移してもらえたら嬉しいです。公園が皆さんにとってより良い憩いの場となれるよう私たちも尽力しますので、是非遊びにいらしてくださいね。

取材を終えて:編集委員 坂本瑛帆

私が生まれ育った町である八王子は、東京の中でも豊かな自然に恵まれた地域です。幼少期は、近くの公園で目一杯遊んだ記憶があります。何気ない経験ですが、今回小林さんのお話をおうかがいする中で、それは非常に得難いものであったと感じました。また、今でもふらっと訪れる公園が、手入れをしてくれる方々のお陰で成り立っていたのだと分かり、有難さを再認識しています。公園は、SDGsの「誰一人取り残さない」理念を体現している場だ、というお言葉から、私の中での公園に対する意識が当たり前のものから貴重なものへと変化しました。今後は日常の様々な当たり前も見つめ直し、SDGsに対する意識を高めていきたいと思います。
<組織概要>
団体名:特定非営利活動法人 NPOフュージョン長池
所在地:192-0362 東京都八王子市松木33-27 ドミールシャルム203
事業内容: 公園管理、施設運営及び環境教育活動
URL: http://home.pompoco.or.jp/