「精神疾患のある本人もその家族も生きやすい社会へ」を掲げ、精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の土壌づくりにチャレンジするのがNPO法人CoCoTELIです。2020年12月に学生団体として設立し2023年5月にNPO法人となりました。現在は土壌づくりのファーストステップとして精神疾患の親をもつ子ども・若者(25歳前後)を対象としたオンライン上での居場所づくりや相談支援を行っています。
自身の父親が、幼稚園の年長時にうつ病を発症し、家庭内で様々な困難を経験しましたが、誰にも相談できないという状況にありました。2020年に関西大に入学し、初めて同じような立場の方と出会い、「一人じゃない」と気づきました。その時に出会った人が、CoCoTELIを構想しており、2020年に一緒に学生団体として立ち上げました。
この取り組みの社会課題として、精神疾患の親をもつ、子どものメンタルヘルスがあります。海外では「子どもの5人に1人程度いる」と言われている精神疾患の親をもつ子どもは、他の子どもに比べ自身の罹患率が有意に高いと言われています。子ども自身の発症はストレス脆弱性などの遺伝的要因と、環境要因の相互作用と考えられる中で、日本において彼ら・彼女らとその親を対象とした制度的な支援体制、民間も含めた組織的な支援はさまざまな社会的背景から育っていないのです。日本における調査研究もまだまだ少ない状況なのも問題です。
具体的な取り組み内容は、精神疾患の親をもつ子ども・若者を対象とした住む地域に関係のないオンライン上の居場所づくりや相談支援です。正直、まだ何も成功していない、そして当事者の変化を成功と定義したくありません。少しずつ課題に関心を持ってアクションをしてくれる仲間が増えてきていることが嬉しい点です。今後の課題は「子ども・若者に安定して安心・安全な居場所や支援を届けていくための資金調達」「現場の質の測定。これの数値化・可視化」です。

現場での子ども・若者との関わりの中で印象的な出来事ももちろん多くあります。現場以外で印象的な出来事でいうと、創業期に行ったクラウドファンディングで560人を超える方が賛同くださったことですね。多くの人が、課題に関心を持ってくださったことは印象的でした。

精神疾患の親をもつ子どもと、その親の困難の総量が、小さいタイミングで彼ら・彼女らの存在に気づき、適切なサポートを届けることができる仕組みを、つくりたいです。それによって子ども・若者、その親を取り巻く多様な困難の予防をしたい。そのために、経済的合理性がなく公的枠組みにも落とされていない狭間にある本領域で、寄付型NPOとしてモデル事業づくりや提言等を通して、仕組みづくりを目指していきます。

みなさん1人ひとりがこの問題を知り、できる範囲で小さなアクションを起こしていくことが精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の土壌づくりにつながります。ぜひこれをきっかけに少しでも、この課題について知っていただけたら幸いです。
「成長に組織が追いつかない状態にならない様にしたいです」思慮深い平井さんの発言から、取材はスタートしました。「ヤングケアラーや、不登校、虐待等と違い、精神疾患の親を持つ子どもたちは可視化されにくいのですよね」平井さんの言葉は、どんどん続きました。そうです、精神疾患には個人情報保護法という壁があります。そこを突破出来ないと、子どもたちを助け出せないです。取材時間が足りぬ程、沢山の課題について伺いました。
平井さんは、あのForbes JAPANの「世界を変える30歳未満」の30名に選ばれました。そこまでたどり着く道程には、幼少時からずっと予期せぬ親の言動に悩まされていたそうです。怖くておびえた事も、うざいと思った事も、全て彼の原動力となったのでしょう。
ゴール3の「全ての人に健康と福祉を」はAIを駆使しながら、令和の新時代に沿った活動をしているこの団体が、先陣をきっています。これからも注目度の高い団体でした。様々な壁を突破出来る事を、心から願います。