ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

世代超えたご近所付き合い
学び、食堂、生活支援の居場所

一般社団法人ユアセル

団体紹介

一般社団法人ユアセルは、北海道札幌市で中学生から70代までのボランティアメンバー42名で構成されています。昔ながらのご近所付き合いのような、出来るときに出来る人がサポートするという精神で活動を行っています。そこには年齢や属性は関係なく、相互に影響を与えあう環境が必要であり、生活の困りごとの解決や、若者が先生のスマホ教室、町内会の手伝い、子供たちの居場所、体験プログラムを実施するなど幅広い活動を行っています。

一般社団法人ユアセル
HP https://yoursel.org/

該当SDGs 目標番号

インタビュー

代表理事 高橋智美さん

代表理事 高橋智美さん

何歳でも自分らしく

北海道出身。作業療法士の資格取得後、総合病院で3年勤務し、起業を見据え札幌市へ移住しました。訪問看護ステーションで地域医療を学びながら自身の方向性を模索中、一般社団えんがおと出会い北海道で「ごちゃまぜ」の共生社会実現のためSNSで集まった現在の理事2名と共に2022年6月に任意団体ユアセルを立ち上げました。マイノリティや生きづらさを抱えている人たちでも「何歳になっても自分らしく」を実現するべく、高齢者の生活支援、フリースクール、イベント運営など多岐にわたる活動を行っています。

ビジョンとして掲げている「何歳になっても自分らしく」を実現するには、様々な価値観を持った人との出会いや、物事を知るきっかけが必要だと考えています。特に北海道は広大な土地柄、住んでいる地域によって得られる知識や情報に差があると考え、どの地域にいる子ども達にも正しい情報や経験の場を作りたいと思い活動を始めました。作業療法士として働く中で高齢者との関わりが多く生活の中で困りごとを抱えていたり、生きがいやつながりがなく「孤立」している現状を目の当たりにしてきたため、まずは高齢者が生き生きと暮らせるまちづくりを目指そうと高齢者向けの生活支援を始めました。

何歳でも自分らしく

孤立と格差解消を目指す

どの世代にも起こりうる孤立の問題の解消、子供たちの体験格差の解消を目指しています。

1.フリースクール(しるべーす基地) 週2回、様々な理由で学校に通えていない子供たちの日中の居場所を開設。本人のやりたいを重視し、学習や遊び、体験活動に寄り添う。

2.学習支援つき子供食堂 月1回、地域のスナックを利用した食堂を開設。フリースクールに通う子供たちや地域の高齢者など幅広い世代が食卓を囲む。食事の前にはボランティアの学生が小学生や中学生の勉強のサポートを行い、日々の出来事を話せる相談相手として関わりを持つ。

3.生活支援事業(介護保険外自主サービス) 電球交換、除雪、病院同行など介護保険では補いきれない生活の困りごとを有償でサポート。ボランティアメンバーが対応し、2022年9月から開始した事業は計300件以上の依頼を実施している。

孤立と格差解消を目指す

SNSで大集合した仲間

ボランティアメンバーはSNSを活用して集まったメンバーで構成されています。そのため大学生や20代30代の若者の活動への参加が特徴的で活気のある活動が行えています。高齢者の生活支援や、スマホ教室に学生が参加することで、普段は経験が出来ないようなことが出来たり、成功体験ができ相互によい影響を与えています。 

活動での課題は、事務局の運営力が不足していることです。活動にはメンバーによる会費や助成金で賄っており、資金不足の課題がございます。継続するためのファンドレイジングやバックオフィス知識不足を課題として抱えています。

SNSで大集合した仲間

弱さ認め合う居場所に

マイノリティや障害など、様々な属性のメンバーが参加しています。団体としてお互いの弱さを認め合うことで、「ユアセルが居場所になった」とメンバーから声を聞くこともあり、サービスを提供している利用者だけではなく所属しているメンバーにも安心して過ごせる居場所を提供できていると感じています。

各事業の繋がりや地域と連携を意識しながら、子どもから高齢者までが安心して過ごせる居場所、その人にとっての選択肢の1つとなれるような場所を作っていきたいと思っています。

またNPOが若者の働く場、就職の選択肢の1つになれるように魅力を伝えながら、持続可能な活動モデルを作っていくことを実現したいです。

弱さ認め合う居場所に

高橋智美さんからのメッセージ

私たちは誰もが自分らしく生きられる社会を目指しています。そのためには正しい知識や情報が必要です。そうすることで、尊重し合い居心地の良い居場所が出来ると考えています。子供たちには環境に関わらず沢山の経験や挑戦をしてほしい。これが私たちの願いです。そのためには自分達も日頃から広い視点で物事を捉えて過ごしていくことが大切であると考えています。出来ることから少しずつ、まずは自分たちの周りから安心して過ごせる場所を作っていってほしいと思っています。

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

「実は、今月資金がショートするかもしれないのです」。取材終盤で、鬼気迫った一言が高橋さんの口からこぼれていました。ご自身が信念をもってしているご活動だからこそ、悔しさも感じます。自身が資金の持ち出し投入をしながら、これまで耐え忍んできたのでしょう。でもここで諦めず、即行動したのも高橋さんの素晴らしい点です。固定費削減の為に、事務所移転をしています。その行動力こそが、この仕事に対する情熱だと感じました。

ユアセルのサポートメンバーには、作業療法士、保育士、公認心理士、社会福祉士等の士業の方々がいる為、とても心強いです。ゴール16「平和と公正を全ての人に」は、昨日今日で作られるものではありません。高橋さんたちの様に、昔で言う「ご近所付き合い」を令和の新時代でも還元する姿勢があってこそのものです。高橋さんは幼少期、ご近所さんたちに教えて頂いた事が現在のご趣味になっているそうで、音楽・DIY・自転車のパンク修理・釣り・屋根の塗装や修理も出来るそうです。それらを現代の子どもたちに継承している思いを、ずっと応援しております。
<組織概要>
団体名:一般社団法人ユアセル(理事5名・ボランティアメンバー37名)
所在地:〒063-0833 北海道札幌市西区発寒13条5丁目2-6
設立:2022年6月
事業内容:フリースクール、子供食堂、生活支援、地域活性
URL: https://yoursel.org/