ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

モノにも第二の人生を!

株式会社エヅリン

団体紹介

大田原市に拠点を構え、家財整理・遺品整理、不要品・家財品の買取、引っ越し・家電の配送・設置、ゴミ屋敷の片付け・建物解体、ハウスクリーニング、お墓の清掃代行サービス、除菌・特殊清掃など、幅広い業務を手掛けています。35人の従業員を抱え、グループ会社であるイージーラインと合わせると約90人のグループを形成しています。業務内容の中心にあるのは、引っ越し、ハウスクリーニング、新生活のサポート、相続や供養、片付け後の不動産売買、解体などを含む「伴走型の片付け」です。家屋を単にきれいにするだけではなく、寄り添いながら片付けの前後に発生する諸問題を解決し、その後のアフターケアも円滑に行うために、関連領域のノウハウを積み重ねています。

該当SDGs 目標番号

インタビュー

代表取締役社長 江連秀夫さん

代表取締役社長 江連秀夫さん

コロナ除菌を対応

1973年、栃木県那須塩原市生まれ。2007年に家電リサイクル回収業として「株式会社エヅリン」を創業。遺品整理・家財整理業のほか、孤独死や事件・自殺現場の除菌・清掃を担う特殊清掃業などを主力事業に据えました。除菌に関する高い技術力と知見を買われ、20年には、新型コロナの集団感染が発生した豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船し、除菌任務を担当。「法令順守」と「環境配慮」に特化した片付け「エヅリンモデル」を確立し、県内外で片付け事業を展開しています。21年、運送会社「イージーライン」(旧・印南陸運)を買収し、エヅリングループを創設して代表に就任。全国90社以上の特殊清掃・遺品整理業者で構成する一般社団法人「家財整理相談窓口」の理事も務めています。

創業当初は、大手家電量販店の家電リサイクル品と家電のゴミを、トラックの荷台に手作業で積み込み、家電リサイクル品は指定取引場所に、ごみは処分場まで運搬していました。作業を通じて、売れ残りや型落ちなどの理由で、まだ十分に使えるにもかかわらず「ゴミ」として扱われる家電製品があまりにも多いことに気づきました。私自身、裕福な家庭出身ではありません。捨てられてしまう家電の山を見て、「まだ使えるのに、もったいないなあ」と感じたことが、その後、ゴミを極力捨てない片付けモデルを作る原動力になりました。

コロナ除菌を対応

エヅリンモデルを普及

OECD加盟国のデータによると、日本の廃棄物のリサイクル率は非常に低い状況にあります。その中で、同社はリユースに特化した企業として、全国でも珍しい取り組みを行っています。特に「エヅリンモデル」を全国に広めることで、廃棄物のリユースやリサイクル率の向上を目指しています。

さらに生活困窮者支援活動にも力を注いでいます。家財の寄贈に加え、片付け・引っ越しサービスの強みを生かし、単身高齢者や生活困窮の方やひとり親世帯などの方々に住まい確保のサポートを行う「居住支援」事業も積極的に推進しています。今後も、社会的弱者に寄り添い、だれ一人取り残さない社会の実現を目指して支援活動を続けていきます。

エヅリンモデルを普及

法整備不十分を乗り越え

「モノにも第二の人生を!」という理念のもと、最大200立方メートル(遺品整理、片付けの場合、一軒当たり)にも及ぶ家財ゴミの約6割をリユースに回すため、独自の流通経路「エヅリンモデル」を確立し、実践しています。
具体的には、まず家財を買取り、弊社が運営するリユースショップ「ブリスフルタイム」で販売しています。国内で販売しきれない日用雑貨や家財については、東南アジア各国に輸出し、現地のオークションでバイヤーに買ってもらいます。また、型落ちの家電製品などは地域の社会福祉協議会などを通じて、生活困窮者の方々に寄贈しています。

「ブリスフルタイム」は今年で開業4周年を迎え、これまでに420トン以上の家財ゴミ削減に貢献しています。また、生活困窮者への支援では、洗濯機やテレビなど、100品を超える家財を寄贈しました。遺品整理・家財整理業界はまだまだ法整備が不十分ですが、弊社の取り組みは行政からも高い評価を得ており、県内12市町で一般廃棄物収集運搬許可を取得しています。法令順守による片付けサービスと、廃棄物の発生抑制の環境配慮を両軸に、さらに「エヅリンモデル」を広めて行くPR活動が今後の課題だと思っています。

法整備不十分を乗り越え

世界で必要と求められた日本のゴミ

5年前、フィリピンのマニラを訪れ、同社が輸出した家財などの行き先を視察しました。大きなオークション会場には、日本で「不要」とされた家財を求める多くの現地の人々が集まっていました。その光景を目の当たりにし、「不要品」も場所と相手を変えれば「必要品」になるという考えを強く抱くようになりました。不要品を必要品に変える「橋渡し」の役割を私が担うことで、ゴミの量を削減したいという使命感が一層強くなったのです。

現在の仕事の依頼は主に栃木県内ですが、東北地域や北関東など、徐々に営業範囲を広げています。将来的には、日本全国で「環境配慮型の片付け」を広め、家財が循環する仕組みを、当たり前のものとして浸透させていきたいと考えています。最近ではSNS上で「片付け博士」としてごみの知識普及啓発に取り組んでおり、積極的な発信を通じて「ゴミの捨て方」に関するリテラシー向上にも貢献していきたいと思っています。

世界で必要と求められた日本のゴミ

江連さんからのメッセージ

「廃棄物の量を減らすこと」は、長年にわたり取り組んできた課題です。近年、SDGs(持続可能な開発目標)の認知度が高まる中で、その重要性がますます広く認識されつつあります。「ゴミを正しく分別すれば、それは資源になる」という意識が、社会全体でさらに共有されることが望ましいと考えています。これは決して難しいことではなく、ゴミを捨てる一人ひとりが「他人任せにせず、自分のこととしてゴミを捨てる。自治体のルールを確認し、正しく捨てる」という意識を持つことが大切だと考えています。

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

「感謝と感動をしてもらえるのが、この仕事のやり甲斐でね~」と少年の様に無邪気な笑顔で、夢中になって話して下さいました。とは言うものの、ご苦労をされた話題にも触れると真剣な表情に、ガラッと変わります。江連さんの魅力は、表情豊かなところだなと思いました。「ハングリー精神がないと出来ない仕事です」。乗り越えて来た数多のピンチを、回想されながら日本ではゴミと捨てられてしまう品物でも店、ネット販売、海外輸出のこの3つの方法で、また必要としてくれる人が大切に使ってくれる復活劇を話して下さいました。ゴール12「つくる責任、つかう責任」この言葉の先陣をきってご活動をされてきたのが、江連さんです。それはまるで冒険者の如く、先の見えない荒野を駆け抜けているたくましさがあります。

「片付けの向こう側には、違う世界があるのですよ!!」。この興奮された物言いこそ、ゴミ屋敷や遺品整理で沈んだ心の方々を元気にしているのだと納得しました。これからも沢山の人々を救う団体でした。
<組織概要>
団体名:株式会社エヅリン
所在地:〒324-0037 大田原市上石上1567-3
設立:2007年8月
事業内容:家財整理、遺品整理、特殊清掃、不要品買取、廃棄物回収、引っ越し、ハウスクリーニング、除菌
URL: https://ezurin.co.jp/