認定特定非営利活動法人こねこサポーター
団体紹介
身近な猫を救う
すべての猫は助けられないけれど、出会った猫は幸せにしたい―。認定特定非営利活動法人こねこサポーターでは、主に猫の保護・里親募集・地域猫活動を行っています。現在は能登半島地震に伴い、猫の一時預かりも実施。毎週末に開催する積極的な譲渡会活動により、高い譲渡率を誇っています。
HP https://www.konekosapo.com/
該当SDGs 目標番号
インタビュー
認定特定非営利活動法人こねこサポーター代表
角谷亜紀さん
家庭活動から団体設立
私は、高齢者施設に勤めており、入院や施設入所などにより、行き場が無くなくなる動物を沢山みてきました。そんな中、私でも猫ならお世話きるかもと預かり、里親を探す活動を個人的に行ってきました。6~7年経った頃、保護頭数が年60頭を越えたのを機にメンバーを集め法人化しました。
「こねこサポーター」という名前は、高齢者宅で置き去りになっていた乳飲み子たちと出会い、その子たちの里親募集をした際に使ったニックネームです。高齢の飼い主さんが入院したお宅に「猫だけが残っている」と通報があり、私が伺った時には一頭のママ猫が既に息を引き取っていました。ママ猫の側では子猫たちが出ないお乳を吸っておりました。ママ猫の死因は解りませんが、クッションマットを多量に齧った形跡がありました。どれだけお腹が空いていたのか、どれだけ子猫の成長を楽しみにして耐えていたのか。そう思うと胸が痛く涙が止まりませんでした。私は、子猫たちが育ち新しい家族が見つかるまで、この子たちのサポーターになろうと決めたのです。それが名前の由来です。現在、NPO法人として活動して4年目になり、約40名のメンバーで猫たちの保護、捕獲、日々のお世話など各々ができることを行っています。
震災後の保護活動
主に猫の保護・里親探し、地域猫の活動をしています。「地域猫」とは避妊・去勢をしたうえで、地域の人たちでお世話をしていく猫です。私たちは、手術後に地域に返してからも、ペットフードバンクに寄付されたフードを届けつつ、猫の安否確認と同時に増えている地域はないか、また、活動に無理はないかなど情報収集を重ねておりました。
能登半島地震発生後は、猫を継続してお世話できなくなった地域中心に保護を行いました。
その数は想像をはるかに超え、自宅とボランティアさん宅だけではとても受入出来ませんでした。
当法人ではどうにも出来なかった猫の受入場所を「ペットのおうち®」(ペットの里親募集情報サイト)さんが、真っ先に確保して下さいました。皆様から沢山のご支援をいただき、2024年2月1日、石川県で初のキャットシェルター「ペットのおうち野々市シェルター」を開設することができました。
そのおかげで、行き場を失った多くの猫たちの保護が可能になりました。震災より約一年間が経過し、約600頭の猫たちがシェルターに来ています。
被災地の動物たちが生きる環境は過酷で、猫たちは野生動物と闘いながら、ネズミやカエル、昆虫や人が残して行ったカップラーメンはお菓子などを食し生きていた様です。シェルターに来たばかりの猫たちは、殆んどが、下痢や嘔吐症状があり、まずは、その治療からスタートでした。春になり、被災地で生きていた猫たちの子猫は、どの子も体調が悪くお世話は本当に大変でした。
現在のシェルターは、かなり落ち着いております。被災地復興はまだ遠く、猫を地域に返すのではなく、これからも新しい家族に繋げる活動を継続していく必要があります。
「猫と過ごしたい」人が「猫と過ごせる」社会に
法人の定款にあるNPO法人の事業活動は「社会教育の推進を図る活動」と「子供の健全育成を図る事業」です。猫たちのお世話やふれあいを通して、子供たちが自ら考え行動し学ぶことの大切さや楽しさ、思い通りに行かない辛さや悔しさを、学ぶきっかけになればと考えています。
そして、今回の震災のように不測の事態は誰にでも起きる可能性があります。明日は誰にも分からない以上、誰に何があっても助け合えるような社会を作れるとよいですね。人が窮地に立たされた時、守るべき命があること、その存在は大きな生き甲斐になると思います。また、高齢であってもペットとの生活を諦めてほしく無いです。これまでペットと過ごし、最後の時までお世話した経験が活かし“預かりボランティア”として活躍できたら良いなと思います。
年齢問わず、みんなが共に助け合える、猫たちと共に活動している私たちだからこそ伝えられる「命の大切さ」や「優しい気持ち」を、未来を生きる子供たちの心に直に伝えたいです。容易なことではありませんが、日頃の活動を通して身近なところから実現したいと励んでいます。
角谷さんからのメッセージ
シェルターにお越しください
今回、震災を受け、たくさんの応援を頂き、人のぬくもりに触れ励まされています。特に、「ペットのおうち®」さんよりご支援頂いているシェルターのおかげで、何百頭もの猫を救えました。猫のお世話以外にも、物資配送のボランティアさん、県内外問わず多くの方々に支えられこの活動ができています。東日本大震災の時、大変だなと心を寄せながらも動けなかった自身を恥じると共に、今いただいている沢山のご支援に感謝しかありません。本当にありがとうございます。
現在の課題として、疾病や感染症、高齢猫など、どうしても譲渡が困難な猫たちがいます。そんな猫たちはシェルターでは無く、ずっと家のような温かい環境、最後まで伸び伸びと穏やかに暮らせる場所があれば良いなと感じています。今後、そんな場所作りにも力を注ぎたいなと思っております。 野々市シェルターの猫たちは人懐っこい子が多く、訪れた方が「自分の家猫よりも懐っこい」と驚かれる方も多いです。東京から新幹線で来られた方もいらっしゃいますので、観光と共にぜひシェルターにもお越し頂ければと思います。猫たちと共に野々市市でお待ちしております。
取材を終えて:編集委員 坂本瑛帆
取材中、子猫が角谷さんにじゃれつく姿を見て、癒されると同時に日頃から深い愛情をもって接しているからこその光景だと感じました。生き物の世話は一頭でも大変ですが、それが子猫や複数となると、その苦労は計り知れません。せわしい活動の中でも、高齢者との繋がりとしての機能や次世代の負担軽減についても考えていらっしゃる角谷さんの姿勢に感銘を受けました。