ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

救命救急センターからの「居場所」
「幸せに生まれてきた」ために

NPO法人サロンみんなの保健室

団体紹介

1.無料の健康相談:育児相談・医療福祉に関する相談・メンタルヘルス等
火・水・木午後13時30分~17時30分 *保健師・助産師・看護師・社会福祉士・精神保健福祉士9人が2人体制でシフトを組んで対応しています

2.健康維持増進:体組成測定をして必要時に栄養・運動に関する支援

3.健康セミナー:参加無料 月1回 太極拳教室:毎週水曜日午前中 参加費500円

4.出前の健康相談。健康セミナー等 *依頼場所に赴き実施しています

5.看護職・福祉職の進路相談 *ホームページを参照してください

NPO法人サロンみんなの保健室

該当SDGs 目標番号

インタビュー

代表理事 渡邊カヨ子さん

代表理事 渡邊カヨ子さん

臨床の看護師として約40年間病院に勤務し退任後、公益法人栃木県看護協会会長を4年間務め、公益法人日本看護協会監事。2020年9月に立ちあげた「NPO法人サロンみんなの保健室」の代表。取り組みのきっかけは、「救命救急センターに搬送される患者の重症化の背景に、貧困や健康に関する知識不足が影響し生活格差が命の格差に繋がることを実感し対症療法的な現状にジレンマ(Forecasting)」「2040年問題の厳しい社会情勢を予測しながら、何もせず国や行政に対して不平不満をいうような人生は送りたくないと考えた。市民が主体的にやれることをやることが必要と考えた(Backcasting)」の2点。

解決しようとしている社会課題は、誰もがよりよく生きることができる支援として健康意識の向上、健康維持増進です。生活習慣病患者の減少(栃木県は糖尿病患者83000人)、重症化予防です。特に貧困で、糖質過多・栄養バランスが悪い、肥満、運動不足は余病の段階となります。個人が健康意識を持つことが必要ですが、難題でもあります。地道に人々の健康意識向上に向けてアプローチが必要だと思っています。

「健康」から丁寧な関わり

成功点は、保健室の活動は5年目となり、徐々に認知度が上がり年間延べ約650人の利用者がいる事です。発達障害や精神障害の利用者が増えつつあり、「健康」をキーワードとして丁寧に関わるようにしています。今後の課題は、人々の健康意識向上へのアプローチの困難性克服、活動のアウトカム設定の困難性の克服です。展望は、相談事業の充実・質の向上を目指し、街中の保健室が増えることを期待しています。
5周年記念フォーラムを2月に開催しますが、パネルデスカッションテーマが「2040年に向けてー誰もがよりよく生きるために私たちができることー」で、同じテーマで10周年記念フォーラムも実施することが当面の目標です。

印象に残った3事例

1.出前健康相談で就労支援センターに月1回赴いている。最初は全く身体や健康のことに無関心の研修生が何度か面談・講話をするうちに健康意識が高まり、特に運動が習慣化するようになった。ヘルスノートを各自が持ち毎日運動したことや嬉しかったこと・楽しかったことを記録し、面談時に見せてくれるようになった

2.定期的に来所、体組成測定結果により自己目標を設定し徐々にBMI(肥満指数)が改善する方の笑顔

3.軽犯罪により服役を繰り返した40代後半の男性が保健室に定期的に通いカウンセリングの中で発達障害が疑われメンタルクリニックを受診し発達障害の診断がついた。それを機に福祉サービスの利用が可能になりメンタルが安定し自立に向けて活動中

渡邊カヨ子さんからのメッセージ

私は「人は幸せになるために生まれてくる」と信じています。保健室の理念は「お金に代えがたい価値の創造」です。人々の幸せについて、人生の価値について一緒に考えてみませんか?

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

「健康であること自体が、社会貢献なのよ」。軽快な口調で、深い一言を渡邊さんは言いました。人生の二毛作と思いスタートされたお仕事だそうですが、こんなに魅力あるご活動を二毛作でしていたら毎日が充実するのは納得します。と言うのも、みんなの保健室には「ありがとう」の感謝で溢れているからです。

ふらっと立ち寄り、自身の悩みを傾聴してもらえて、しかもアドバイスだけではなく心に寄り添ってくれる。心を満タンにしてもらえて、帰宅が出来るわけですから人気なはずです。

「大体、身体の不調を訴えてここに来られる方はね、原因を深掘りするとご夫婦のコミュニケーションの問題にたどり着く事が多いのよ。だからね、“夫婦で向き合って食事すると相手の悪い所ばかり目についてしまうから、横並びになって食べたらどうかしら?”って提案するのよ」。熟年離婚が急増している昨今、実に興味深い一言ばかりで夫婦の子ども返りとは、面白い現象だなと思いました。ゴール3の「全ての人に健康と福祉を」は、みんなの保健室が提供しています。渡邊さんは最近ご主人を亡くしました。「亡くなって気付いた事があるの。誰だって、いずれ1人になるのだなって」。遠くを見つめる彼女の目には、結婚も子育てもそして共働きもご夫婦で乗り越えて来られたからこその一抹の寂しさが映し出されていました。経験したからこそ、みんなの保健室で沢山の方々に寄り添えるのですね。今後も応援したい団体です。
<組織概要>
団体名:NPO法人サロンみんなの保健室
所在地:〒320-0035 栃木県宇都宮市伝馬町4-31
設立:2020年9月(2021年3月NPO法人登録)
事業内容: ①無料の健康相談事業
②健康セミナー・交流会事業
③進路相談事業
URL: https://minnano-hokenshitsu.net/