ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

孤独から「ごちゃまぜ」で地域づくり
全世代の誰もが集まる場所に

一般社団法人えんがお

団体紹介

年間延1000人以上の若者を巻き込みながら、徒歩2分圏内に9軒の空き家を活用し、高齢者サロンや学童保育、フリースクール(不登校支援)・地域食堂・シェアハウス・障害者向けグループホームなどを運営。子供から高齢者まで、障がいの有無に関わらずすべての人が日常的に関われる「ごちゃまぜの地域づくり」を行っています。

一般社団法人えんがお

該当SDGs 目標番号

インタビュー

代表理事 濱野 将行さん

代表理事 濱野 将行さん

誰かと話がしたい

大学卒業後、作業療法士として老人保健施設で3年半ほど勤務しました。その間、地域活動や災害支援活動などのNPO活動にも関わっていました。そこで得た価値観が大きく、地域の孤立問題にも直面したことから、2017年に一般社団法人えんがおを設立しました。地域高齢者の方から、「1週間に一回、電話でいいから誰かと話がしたい」と話されたことがありました。調べると、そうした高齢者は当時独居高齢者の10人に1人以上いました。コロナ禍を経て、現在は10人に3人と言われています。一生懸命生きた人生の締めくくりの期間が孤立では、若者は未来に希望を抱けないと強く思い、孤立の問題に向き合うことを決めました。

こりつとこどくを変えていく

「こりつ」と「こどく」を地域の現場から変えていくことを目指しています。

さまざまな世代にとって、孤立は課題を複雑化させる要因であり、孤立から多くの社会課題が生まれます。それを、支援する・されるの二極化ではなく、グラデーションの中で双方につながり合う形で解消していきます。

具体的には、徒歩2分圏内に9軒の空き家、アパート3部屋、空き地を活用し、高齢者・若者・子ども・障がい者などそれぞれの居場所を作っています。その中心にみんなが自由に集まれる拠点があり、そこでは日常的に世代や障がいの有無関係なく、交流が生まれています。多様な人が日常的に関わり合い、支援されているわけではなく、お互いに支え合っている形ができているのは、参加している「全ての人が作り上げた成果」だと思います。今後の課題としては、2点あります。全国にこうした形を広げるための動きが必要であるということと、福祉などに関心のない人を自然に巻き込む形を目指すことです。

こりつとこどくを変えていく

尊い「つながりの日常」

「毎日テレビと話している」と言っていたおじいちゃんが、学生と話して元気になり、学生に色々なことを教える指導者になったり、それによって不登校の若者が元気になるような姿を現場で何度も目にしました。同じように、孤立していた女性が地域の料理当番になっていたり、それを障がいを抱えた人が手伝ったり、そうした、人が持つ本来のつながりによる作用は、とても尊い日常だと思っています。

尊い「つながりの日常」

探りたい再分配

少し福祉によりすぎてしまっている反省があります。ただのクレープ屋さんをやって、実はそこに90代のおばあちゃんや精神障がいを抱えるような人が働いている。そんな、無意識的に触れ、加担してしまう福祉のあり方を探りたいです。また、自分たちだけではなく、一般の企業も巻き込んで、寄付を受けたり、寄付をしたいと思われる組織を目指します。そうすることで、現場の人間や関心の強い人だけではなく、多くの人を巻き込んだ再分配のあり方を探りたいです。

濱野さんからのメッセージ

いま私たちが求めているのは、より多くの人に伝える機会やきっかけです。何かそういった機会に繋げてくださる方、お誘いしてくださる方がおりましたら、ぜひお願いいたします。 また、企業や団体の方で何か一緒にできることがあったり、協賛による多世代交流の現場での研修なども含め、さまざまな分断線を超えて関わりをもてましたら嬉しいです。

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

「福祉の優しさに、自然に触れてもらえるそういう環境を作りたいですね」。濱野さんは、穏やかな口調でそう言いました。ボランティア活動に興味のない人たちも、無意識に福祉に触れてもらえる、そういう自然な環境を目指しているのです。末っ子育ちの彼は、甘えたり頼ったりする事に長けていると自覚されていましたが、その長所こそが社会貢献になっていると思いました。地域を、そしてどんな不安や障がいを抱えている人も巻き込み、時間を共にする。ソロ社会と呼ばれる昨今で、えんがおさんのご活動は群を抜いて優しさに溢れています。ゴール17の「パートナーシップで目標を達成しよう」は、お互いの弱い所を補い合える、そんな心温かい居場所にも存在しているのです。ここで言う目標とは、立派なものだけではなくて、「有難うという言葉に囲まれて生きる」。そんなほっこりと優しい気持ちになれる目標も、指すのではないでしょうか。生きることに迷った時、えんがおさんに足を運んでもらいたいです。これからも、応援し続けたいご活動でした。
<組織概要>
団体名:一般社団法人えんがお
所在地:〒324-0051 栃木県大田原市山の手1-9-10
設立:2017年5月
事業内容: 高齢者サロンや学童保育、フリースクール(不登校支援)・地域食堂・シェアハウス・障害者向けグループホームなど
URL: https://www.engawa-smile.org/