特定非営利活動法人タンデム自転車NONちゃん倶楽部
団体紹介
やってみる可能性
愛媛県松山市を中心にタンデム(2人乗り)自転車の体験や走行イベントを開催しているNPO法人です。自転車やカヌーといった乗り物を通して「障がい者と社会をつなぐ」取り組みを行っています。合言葉は「出来ないではなく、やってみることで可能性を引き出す」。
HP https://nonchan.club/
該当SDGs 目標番号
インタビュー
特定非営利活動法人タンデム自転車NONちゃん倶楽部 理事長 津賀薫さん
「お前が俺の眼になり俺がお前の脚になる」
当団体の設立のきっかけは、私の夫(徳行・通称NONちゃん)が、薬害により視覚障がいとなり、いつかは私とタンデム(二人乗り)自転車で風を切って走りたいと夢みていたことにあります。夫は夢果たせぬまま旅立ってしまいましたが、その翌年、全国で4県目に愛媛県でのタンデム自転車の走行許可がおりました。これを機に、NONちゃんの想いを果たすと共に、障がいがあっても走る喜びを通して「心のバリアフリー社会の実現」に繋げていきたいと考えたのです。
当団体の大切な考えの一つに、「お前が俺の眼になり俺がお前の脚になる」というNONちゃんが遺してくれた相互扶助の精神があります。これは、共生社会においてもとても重要な考え方ではないかと思います。
喜びは人を大きく変える
喜びは人の心身の健康状態を大きく変えます。私の父の姉が白血病で余命五か月の宣告を受けたのですが、その時に私は姉を連れ出しての旅行を企画しました。4泊5日の沖縄旅行を皆で楽しみ、彼女はみるみるうちに元気を取り戻し、結果6年間も元気に過ごすことができました。当団体では視覚障がいのみならず、精神や身体、知的障がい、難病の方々がタンデム自転車に乗っていますが、ぜひ風を切って走る喜びを感じてもらい、元気になって欲しいと思います。自転車だけではなく、2人で協力して漕ぐカヌーもあります。
参加者が一つになる感動
定期的にタンデム自転車の走行イベントを行っているのですが、そこでは参加者全員が支援をしたり、されたりしています。タンデム自転車は、一人では漕げません。障がいのあるなしに関わらず、協力して前に進んでいくのです。足が不自由でも目が見える人は目となり、逆に目が見えなくても足が動く人は足になる。同じ方向を向いて、励ましあって、勇気づけあって頑張る姿が、大きな感動体験を生み出すのです。脳性まひで生まれ、歩ける可能性が1%もない、と言われていた方がタンデム自転車でしまなみ海道(広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ道路)を走ったのも良い思い出です。
体験した方から、「今までは『どうせできない』と諦めることが多かったのですが、タンデム自転車に乗ってからは『あれもやりたい、これもやりたい』と思うようになりました」という感想をいただくこともありますが、本当に嬉しい声です。もっともっと多くの方々に、タンデム自転車や2人乗りカヌーに乗る体験をしていただきたいですね。
小林さんからメッセージ
まずは、一歩踏み出してみて
やりたいことがあってもトライしてみるか迷っている方へ、ぜひ、積極的に動いてみて欲しいです。思い悩むよりも、まずは体験。チャレンジ精神を大切にしていただければと思います。タンデム自転車が気になった方は、ぜひ体験しに来てくださいね。
取材を終えて:副編集長 大槻一敬
当団体のイベントでは、参加者全員が何かの役割を担って、協力し合って、喜びを感じるために奮闘します。そこには傍観者がおらず、全員が主役。まさに、素晴らしい共生社会を築いていくための基本となる価値観があるのだなと思いました。