ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

地域課題を全力で議論する学びの場
多様な住民主体のまちづくりへ

地域支え合い研究会

団体紹介

地域での機能低下の実情

高齢化社会を迎えた日本では2000年より介護保険制度が導入され、社会全体で介護を支える体制が整備されましたが、やがて、要介護高齢者の増加、社会保障費の増加、介護保険料の増加、介護従事者の不足や低賃金など、介護保険制度の持続性を揺るがしかねない課題が明らかとなりました。

国は、2011年より地域包括ケアシステム、すなわち団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みの整備に乗り出しました。その仕組みは、医療機関、介護事業者、民間企業、NPO・ボランティア団体や自治会といった住民組織などの多様な主体が連携し、医療、介護、介護予防、生活支援などの介護サービスを包括的に提供するものでした。

なかでも、国は、保険サービスの範囲を縮小する一方で、民間事業者や住民組織による保険外サービスの提供に期待を寄せるようになりましたが、民間事業者は採算の合わない地域への参入に消極的なうえ、住民組織のうち地域の互助活動を担っている町内会・自治会などの地縁団体は組織率の低下等を背景に機能が低下しているのが実情でした。

経験なき連携と協働

地域包括ケアシステムの構築を成功させるためには、それぞれの地域ごとに、医療機関、介護事業者、民間企業、NPO・ボランティア団体や自治会といった住民組織などの多様な主体が共通理念のもとに連携する必要があります。いわゆる規範的統合です。なかでも、住民組織が積極的に地域包括ケアシステムの構築に取り組むことは重要なポイントでしたが、経験したことのない連携や協働を住民組織に促すことは容易ではありません。

地域支え合い研究会

該当SDGs 目標番号

インタビュー

地域支え合い研究会 代表 村井邦彦さん

地域支え合い研究会 代表 村井邦彦さん

1970年生まれ
1988年 栃木県立宇都宮高校卒業
1995年 東京医科歯科大学医学部医学科卒業
2010年 自治医科大学大学院博士課程修了
2011年 村井整形外科(現 村井クリニック)院長・理事長
2015年 宇都宮市医師会理事(在宅医療・社会支援部担当)
    宇都宮市地域包括ケア推進会議議長
2017年 一般社団法人えんがお理事
獨協医科大学臨床教授
2024年 自治医科大学客員教授
「地域支え合い研究会」は、共同主催者の福田智恵市議とともに、宇都宮市西原地区を中心とした地域住民、多職種向けに地域のコミュニティセンターで毎月1回土曜日に開催している研究会です。地域住民が取り組むべき方向性を理解し、行動するモデルとなること、行政が住民組織を効果的に支援する方法を確立するモデルとなることを期待しています。

共同主催者 福田智恵さん

共同主催者 福田智恵さん

活発な議論に「楽しかった」

現在、地域支え合い研究会は2016年12月の開始から8年弱が経過し、84回の開催を迎えています。毎回、地域住民のほか専門職や行政、マスコミなど40名程度の現地参加者と20名程度のwebでの参加者があり、地域活動を実践している人を講師にお招きして講演して頂いたのち、時間をかけて討論を行っています。討論に要する時間が講演時間よりも長くなるのは当研究会の特徴です。地域包括ケアシステムの構築、まちづくりに取り組んでいる参加者が多いため、様々な立場の視点から本音の議論が繰り広げられています。その点が参加者の理解を深め、「今回も楽しかった」と言っていただけている理由だと思います。

今後の課題は、何と言っても地域住民の主体的な参加です。研究会に参加してくださる人は具体的にどう行動すべきかが理解できていますが、まだそれぞれの地域や宇都宮市全体を動かすほどの力にはなっていません。

活発な議論に「楽しかった」

課題と方向性が具体的に

毎回が非常に印象的で素晴らしい学びになっています。書籍に書いてあることは読んで学ぶことができますが、この研究会では市民の視点、行政や議員の視点、マスコミの視点、医療・福祉分野の視点などから様々な質問や意見のぶつけ合いがあるため、課題や方向性がとても具体的に感じられるのです。いつもブレインストーミングをしている感じです。

課題と方向性が具体的に

目指すは住民主体のまちづくり

この研究会は、地域課題がある限り、講師役となってくれる方がいる限り、続けてゆくと思います。現在は福田智恵市議と医師会理事の私が企画運営をしていますが、今後は企画グループにより多様な人材を加えて、様々な取り組みを実践している人たちと繋がり、これまで以上に楽しく魅力的なまちづくりの提案をしてゆけたら良いと思っています。地域包括ケアシステムの構築、地域共生社会の実現を経て、「健康で幸せになれるまちづくり」を地域住民主体で実践してゆけることを目指しています。

メッセージ

地域包括ケアシステムの構築、健康視点でのまちづくり、社会的処方の実践などに関わっている人や組織、それらのネットワークは日本中に無数にあります。私たちは、多くの皆様と繋がり、学び合い、意見交換をする機会を創出することで、地域の支え合いの文化を育ててゆきたいと考えています。一緒に活動していただける方、講師として話していただける方を探していますので、ぜひメールをください。お待ちしています。

メッセージ

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

ソロ社会と言われる現代で、様々な社会課題に気付いていない人、危機感を抱いている人、そして無関心な人がいます。地域支え合い研究会は、毎月の勉強会で様々なドラマが見られます。理由は世の中へ問題提起をしているからです。ただ単に意見するだけではなく、その解決策について討論が過熱するのも、この研究会の魅力です。「誰かが何とかしてくれるだろう」という気持ちでは、世の中は決して変わりません。

その答え合わせが出来るのが、地域支え合い研究会なのだと感じました。特にゴール11の「住み続けられるまちづくりを」根底から支え続けている参加者の皆さん、何より主催者の村井さんと福田さんにこれからも目が離せません。

心温かいメンバーたちが築き上げてきた、実家のように安心感溢れる居場所に、ついつい毎月参加したくなるのも納得出来ました。
<組織概要>
団体名:地域支え合い研究会
所在地:〒320-0841 栃木県宇都宮市六道町12-38
設立:2016年12月
事業内容:地域支え合い活動のモデルを、地域に示す
Facebook: https://www.facebook.com/sasaeaikenkyukai