ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介

「生き直しをしたい」の更生場所

特定非営利活動法人ぱんだのしっぽ

団体紹介

SOSが言えない社会

様々な状況下のもと、複雑で深刻な問題を抱えながらもSOSを発信できず、社会から孤立・孤独を深めていく方々が、負のスパイラルから抜け出せないのが、社会の状況です。私たち「ぱんだのしっぽ」は、その状況に全身全霊で、「助け」に入っています。

24時間365日の対応

社会のセーフティネットから溢れ、孤立を深めるひとり親家庭(実質的ひとり親家庭を含む)を対象とした24時間365日対応のLINE相談を実施しています。そこから繋がった親子に寄り添い、問題の解決に向け、必要に応じて食料等の支援物資の提供や同行支援など包括的なアウトリーチ支援を行っています。

環境の改善が必要な家庭や強制退去などによる住居を失った家庭などの生活支援として、ステップハウスを運営し、入居した世帯の自立に向けて取り組んでいます。

また、社会的養護を必要とする子どもたちの自立に向けた支援を行う自立援助ホームを栃木県から委託され運営しています。

そのほか、セーフティネットを拒絶する若者達にアウトリーチで寄り添い、家出や生き直しを望む若者達を受け入れ、更生・自立を目指すシェアハウスの運営も行っています。

特定非営利活動法人ぱんだのしっぽ
HP https://miya-man.com/company/pandanoshippo/

該当SDGs 目標番号

インタビュー

特定非営利活動法人ぱんだのしっぽ 代表理事 小川達也さん

特定非営利活動法人ぱんだのしっぽ 代表理事 小川達也さん

埼玉県川口市出身、大学中退後、消防士拝命。レスキュー隊として人命救助に当たる。埼玉県に派遣、消防防災航空隊降下長としてヘリコプターでの救助活動業務にあたる。緊急消防援助隊として新潟中越地震に派遣。
退職後、現職。

受けた恩を返したかった

自身の離婚を機に消防を退職し、当時小学5年生の息子と2人で栃木県日光市に移住しました。(息子がアイスホッケーをやっていたため)移住前に日光市内で住居を探していたところ、地元の自治会長とお話をする機会があり、空き家を無償で提供してくださる方を紹介され、戸建て住宅を無償で譲渡して頂きました。そこでのシングルファーザーとしての生活の中、息子が通う学校の父兄の方々からは子育てや学校行事、部活動などでとても手厚く優しい配慮を頂いたり、近所の方々からは常に気をかけて頂き、とれたての野菜やお米などをお裾分けして頂いたりなど、田舎でのひとり親家庭の私たちの生活に安心感を日常的に届けて頂いておりました。

みなさんのサポートもあり、息子が無事成人になったのを機に、これまで私たちが享受してきた恩を返していこうと思い、近隣の孤立し生活に困窮するひとり親家庭に対して食料品等の支援物資を届け、寄り添い、孤立を深める親子が抱える問題の根本を解決する活動を始めました。

受けた恩を返したかった<

孤立の解消への道筋

ひとり親家庭(実質的ひとり親家庭を含む)を対象とした包括的アウトリーチ支援について、誰かに相談したくても、他人の目が気になるなどの心理的な障壁や、時間的な制約を取り除いた24時間対応のLINE公式アカウントを活用したLINE相談を実施することで、様々な問題を抱え、誰かに助けを求めたくても躊躇していた方々が、いつでも気軽に相談が可能となりました。私たちとつながった家庭へのアウトリーチ支援により、物質的にも精神的にも安心感を享受し、孤独・孤立の解消に寄与することが出来ております。

青少年の支援については、SNS等で相談を待つだけでなく、こちらから街に繰り出し、不良少年達を含めた多くの青少年に関わることで、徐々に信頼関係を構築することができ、行き場のない多くの青少年に寄り添い、私たちが運営するシェアハウスに入居を希望する若者達に生活の場を提供しながら就労支援のもと、仕事を始め、自立に向けて一歩踏み出すことが出来ています。
今後の課題については、「情報難民」の孤立した支援対象者に、いかに支援や相談の情報を拡散して届けることができるか、また支援が必要な状況にも関わらず、支援を拒む方々に対して、いかに適切な支援をスムーズに届けるかが課題となっています。

取り戻した生きるチカラ

私たちにLINEや電話を通じて繋がり、辛く苦しい心のうちを話すことで、「もうひとりじゃないんだ」という安心感を享受し、更にこちらから訪問して寄り添い、1人では一歩踏み出せなかった問題に、解決に向けて共に行動することで、困難を乗り越え、笑顔を取り戻し、その子どもについても元気に健全な生活を行えることが出来たなどの事例が多数あります。

問題を抱え八方塞がりとなった方が、心の棚卸しをして、これまでの自分自身を見つめ直し、過去を全て受け入れ、認めてあげること、そしてこちらからの問題解決に向けた提案に一歩踏み出せるかどうかが、状況の改善の鍵となります。勇気を出して行動することができた方々は、状況は徐々に改善方向に進み、精神面では劇的に良い方向に変化し、表情も豊かにポジティブ思考で、生きるチカラを取り戻しています。

孤立の解消への道筋

「全てを助ける」ため

これまで様々な相談を受け、解決に向けた提案や行動などで相談者の多くの問題に向き合ってきましたが、相談・支援対象者を限定するのではなく、より幅広い年齢層の「困りごと」に向き合い、寄り添い、様々な支援を提供するリアルな拠点として、宇都宮市の繁華街オリオン通りに「Drop in Shelter Utsunomiya」という駆け込み寺の開設に向けて動き始めました。「誰をも受け入れ、全てを助ける」をコンセプトに、展開していく予定です。

「全てを助ける」ため

小川さんから皆さまへのメッセージ

「知らんふり」「他人事」「自分だけが良ければいい」「無関心」な社会を変えていきませんか。

時代が進化していく一方で人の心が貧しく退化している感覚があります。

確実に格差は広がり、自分の行動に対して何か見返りを求め、自己中心的な考えの人間が増えてきていると感じています。

何か行動するときに、頭で考えて損得勘定をしたり躊躇するのではなく、例えば満員電車に座っていた時にお年寄りや体の不自由な方が立っていた時、何も考えずに自然とスッと立ち上がり、席を譲れる。これは頭で色々考えず、心が体を自然と動かしています。

今、真の「優しさ」「思いやり」「愛」を考え直すときに来ているかもしれません。

想像力を働かせることで、相手の人に言えない辛く苦しい状況や心のうちにも寄り添うことができ、そこには本当の「優しさ」が存在し、自己犠牲をいとわずに誰かのために行動することで「思いやり」や「愛」が生まれます。

目まぐるしく時が過ぎて移り変わる現代において、一度立ち止まり、自身の心を見つめ直し、古き良き「日本人」の心に原点回帰する時が必要かと思います。

「困った時はお互い様」の精神があれば、弱者にはスッと手を差し伸べることができ、また自分自身も困った時は誰かに助けられます。

机上の論理や固定概念にとらわれず、様々なアイデアやスピード感を持った行動力が、弱者を迅速に救います。

一人ひとりが「お互い様」の気持ちを持ち合わすことができる社会、誰もが躊躇することなくSOSを発信し、誰もが躊躇することなく手を差し伸べられる社会づくりに、私たちは微力ながら挑戦していきます。

取材を終えて:公認サポーター 市川潤子

栃木県内の繁華街だけではなく、「東洋一の繁華街」と呼ばれる新宿歌舞伎町等、南関東でも、溢れている家出した子どもたちもサポートする小川さん。「自分は規格外だから」と笑っておっしゃるとおり、表面的なきれい事は一切言わず、即行動を実践されている方です。言葉に迷いも無く、隙のない観察眼は現場の数とご経験を積んでいるからこその実力です。

特定非営利活動法人ぱんだのしっぽを取材して、ゴール1の「貧困をなくそう」を先陣切って取り組まれているのを感じました。と言うのも、今回の取材場所こそ家出した子たちの更生場所だったからです。そのシェアハウスの2階からは、掃除機の音が聞こえました。自立の為に本人たちが家事をするその姿に、応援せずにはいられませんでした。今後も見逃せない団体です。
<組織概要>
団体名:特定非営利活動法人ぱんだのしっぽ
設立:2020年10月
所在地:〒320-0037 栃木県宇都宮市清住1-7-1
事業内容: 1.ひとり親家庭(実質的ひとり親家庭を含む)を対象とした24時間対応LINE相談及び包括的アウトリーチ支援事業
2.ステップハウス運営事業
3.青少年を対象とした24時間対応LINE相談事業及び包括的アウトリーチ支援事業
4.自立援助ホーム運営事業
5.シェアハウス運営事業
ホームページ: https://miya-man.com/company/pandanoshippo/
フェイスブック: https://www.facebook.com/copandaoyapanda/