宇都宮市出身。宇都宮女子高校を卒業後、バージニア州立ウィリアム＆メアリー大学国際関係学部を修了。2008年に劇団「日穏-bion-」を旗揚げ、自ら企画・脚本・出演を手掛ける。近年は国際的な映画作品にも出演し、脚本家やプロデューサーとしても活躍。NHKのニュースキャスターや国際イベントの司会を務め、バイリンガルアナウンサーとしても多方面で活動中。

私が演劇の道を選んだきっかけは、幼少期の体験に深く根ざしています。大学4年生のとき、メキシコの児童養護施設でボランティア活動を行っていた際、ボランティア劇団が訪れ、子供たちにお芝居を披露する場面に立ち会いました。劇を観て、子供たちが心から楽しんでいる姿を目の当たりにした瞬間、私の中で何かが変わりました。自身の小学校時代、現実から逃避するために映画を観ることが唯一の楽しみだった私にとって、その劇団が子供たちに与えた喜びは、まさに「心の栄養」そのものでした。この経験が、私に「人々を笑顔にする仕事をしたい」という強い想いを抱かせ、演劇の道を選ぶきっかけとなりました。

大学卒業後、日本に戻り、通信会社で働き始めました。しかし、オフィスワークの現実は私には向いていないと強く感じ、再びメキシコでの経験が脳裏をよぎりました。あの時の子供たちの笑顔を思い出し、「誰かを笑顔にする仕事をしたい」と改めて強く思ったのです。それが演劇に真剣に取り組む決意をした瞬間でした。演劇を通じて、人々に影響を与え、彼らに心の栄養を届けたいという想いが、私の中でさらに強まっていきました。

地元宇都宮の文化度を上げるために、私は一般社団法人を立ち上げました。地域の人々が参加できるワークショップを企画し、演劇を通じて地域社会に貢献することを目指しています。長野県や兵庫県のように、教育現場に演劇を取り入れる試みも行っています。

現在、安楽死やLGBTQといった社会問題をテーマにした新作映画の企画を進めています。この作品では、ネイティブアメリカンの死生観や多様性の考え方を取り入れ、観客に深く考えさせる内容を目指しています。しかし、安楽死に対しては一部の障がい者団体から反対の声もあり、その対応には慎重さが求められます。社会的に物議を醸すテーマに取り組むことで、観客に新たな視点を提供し、議論を喚起することを目的としています。

大学時代に米国留学を経験しました。その際、バージニア州の保守的な地域で暮らし、多様な人種や宗教の人々と共に生活する中で、多様性の重要性を学びました。寮では、ユダヤ教、キリスト教、ヒンズー教、イスラム教など、様々な背景を持つ学生たちと一緒に過ごし、彼らの価値観や生き方に触れることで、「人は違う」ということを深く理解しました。この経験が、私の作品において多様性をテーマとする際の基盤となっています。演劇や映画を通じて、多様性を認め合う社会を作ることを目指しています。異なる背景や価値観を持つ人々が共存し、互いを尊重し合う社会を実現するために、自分の作品を通じてそのメッセージを伝え続けています。人々が違うということを受け入れ、それぞれの立場を尊重することが、より良い社会の実現に繋がると信じています。　

いつも私たちの活動を支えてくださるみなさま、本当にありがとうございます。私が演劇の道を志したのは、子供時代に見たメキシコの小さな劇団の公演がきっかけでした。そこでの子供たちの笑顔が、私に「人を笑顔にする仕事がしたい」という強い思いを抱かせました。みなさまの支えがあってこそ、今もその夢を追い続け、多様性を認め合う社会の実現に向けた作品をお届けできています。これからも、共に歩んでいきましょう。

国際的に映画や演劇で活躍する岩瀬さんですが、栃木県の名産品「夕顔」を制作したのがきっかけで栃木県の活動も広げようということで（一社）とちぎ映画演劇文化協議会を立ち上げました。毎年の公演を開催し岩瀬ファンと同時に演劇に興味を持ち人も徐々に増えています。脚本家でもある岩瀬さんが作る世界はまさにSDGsの大命題でもある多様性を尊重することが描かれていて東京都では青少年への推薦映画になっています。これから地元の文化を耕してくれると期待しています。