一般社団法人 地域サポーターダンクの会は、個々の豊かな生活を支えるための団体です。農業や物づくりを通じて、一人ひとりの役割を見出し、生きる喜びと自分らしい生き方を発見する場を提供します。地域社会との連携を深め、次世代への貢献を目指した活動も行っています。特に障がいのある方には、就労継続支援B型サービスを提供し、知識や能力の向上を支援。農福連携やSDGsの推進にも尽力し、幅広い支援体制で豊かな生活をサポートします。
栃木県栃木市出身。海星女学院卒業後、東京家政大学で染め物を専攻し、研究室に残り研究を続ける。研究を進める中で、指導教授から「君に必要なのは普通の生活」との助言を受け、すぐに結婚。染物に没頭するあまり、睡眠時間を削り、体力を過信していた結果、脳梗塞を患い、自分が身体障がい者となったことを契機に団体を設立した。
私が50歳の時でした。脳こうそくを患い、身体に障がいを持つことになりました。染め物に没頭するあまり、睡眠時間を削って作品作りに打ち込んでいたため、体力を過信していた結果です。脳こうそくをきっかけに、自分と同じような境遇の人々を支援する活動を始めました。栃木県には脳卒中の患者が集う会がなかったため、会を立ち上げました。セルフヘルプの一環として、若い脳卒中患者たちが将来を悲観せず、前向きに生きていけるような場を提供したかったのです。
ある写真館では高齢の女性が喪服を借りに来るの様子を見て、楽しい交流の場が必要だと感じ一般社団法人サポーターダンクの会を作り、ミヤジェンヌ食堂を立ち上げました。
さらに、知り合いの双子の兄弟の一人が障がいを持っており、家族の仕事が忙しいためヤングケアラーとなっていたその弟を預かり、人と接する事ができるように成長する姿を見て、これが障害者支援事業の始まりとなりました。
私は社会課題の解決に向けて、様々な取り組みを行っています。特に、栃木県の福祉障支援の遅れを痛感し、この問題に対して行動を起こすことが必要だと感じています。視覚障害者へのサポート体制が整っておらず、高齢者に対する配慮も十分ではありません。例えば、バス停に障害者マークがなく、以前は県庁周辺の点字ブロックが本来の黄色ではなく緑色に変更されるなど、基本的な支援すら不足しているのが現状です。
このような状況を改善するために、「パラピープル」というイベントを始めました。このセミナーでは、視覚障害者やその家族、支援者が一緒になって、どのように支援を受けるべきかを学び、共に考える場を提供しています。特に、将来を担う子供たちが楽しく充実した生活を送るためには、周囲の理解とサポートが不可欠です。私たちの施設では、生き方を教えることを重視し、家族と共に支援方法を模索しています。
ダンクの会では、障がい者が自らの役割を見つけ、生きる喜びと自らの生き方を探求できる場を提供しています。ここでは、農業やものづくりを通じて地域社会とのつながりを深めることができます。宇都宮市の中心部から車で約20分の自然豊かな環境に位置するダンク農園では、何年も農薬を使わない農地で多様な作物が育っています。自生するタケノコや梅、ブルーベリーに加え、ビニルハウス内で育つアスパラガスやトマトなどが収穫されます。
また毎月の誕生日会やバーベキュー、100円ランチを開催し、利用者や地域住民が交流する場を設けています。これらのイベントを通じて、障がい者が自分の思いを自由に表現し、健常者と共に過ごすことで、互いの理解と支援の輪を広げることを目指しています。
ダンク農園いう取り組みでは、障がい者が平等に意見を発信できる場を提供し、様々な立場の人々が協力し合うことの重要性を訴えています。地域の自治会や社会福祉協議会、民生員などが農園に集まり、新鮮な野菜と肉を使ったバーベキューを楽しむことで、コミュニティの新しい在り方が評価されています。
そして、「パラピープル」というイベントを通じて、性被害や虐待といった深刻な問題にも取り組んでいます。利用者の性被害や虐待を発見し、解決に向けて動いています。問題が発生した場合、支援学校の先生と連携し、被害者の声を聞きながら問題解決を図っています。これらの活動を通じて、障がい者が安全で安心して暮らせる社会の実現を目指しています。
利用者の精神衛生に役立つと思い無農薬の農園に移ってきましたが、今後は障がい者や高齢者でもできる農業のやり方を開発していこうと思います。できればノウハウを確立してそれを全国の同じ志の方に広げていきたいと思います。だれもやったことのない分野だからこそ挑戦したいと思っています。そのためのリサーチを進めます。
ダンクさんが考えて実践していることは、一般の生活では気がつかなかったことばかりでした。どうしても声を上げにくい立場の人に働く場として農業を示して、自然の力も借りて人間性をとりもどしていくことは現代社会においてとても重要な視点だと思います。多くの共感者支援者が集まることに期待したいと思います。