NPO法人日本耐震防災事業団
団体紹介
耐震化促進のために資格を創設
災害対策において、特に重要なテーマである「耐震化」。当団体では、多くの建築の専門家とともにこのテーマに取組んでいますが、特筆すべき点としては、資格制度を創設し、耐震の専門家を育成するスキームを構築していることが挙げられます。
HP https://nittaibou.jp/
該当SDGs 目標番号
インタビュー
NPO法人日本耐震防災事業団 理事長 小口悦央さん
大震災をきっかけとして
私たちは地震による家屋倒壊の被害をなくすべく、日々取組みを行っています。その原点は3年近くにわたり倒壊家屋の撤去・復興住宅の再建に携わった、1995年に発生した阪神・淡路大震災にあります。6,400名以上の尊い犠牲者の大半が地震直後の家屋倒壊や家具転倒によって亡くなりましたが、日本においてはこれがきっかけとなり、耐震補強・倒壊防止工法の研究・開発・実験が活発化しました。私たちは日本の耐震化を進めるべく、独自技術の研究や「耐震プランナー」という専門家資格を2001年に創設し、これまで耐震診断のスキルを持つ専門家を3,000名以上育成してきました。これからも、地震に強い街づくりに寄与する為、耐震システムの構築と普及に一層努めていく所存です。
原動力となった震災の記憶
阪神淡路大震災では、身内も被害を受け、私はすぐさま現地に向かいました。一級建築士資格を持っていた私は、倒壊している建物を見て大きなショックを受け、そこであらためて建物の耐震化の必要性を痛感しました。周囲の人から「建物ってこんなに脆いのか?」と問いかけられたことも辛い記憶として残っています。この体験が「私がやらなきゃいけない」という気持ちを強くし、後に「耐震プランナー」資格をつくりあげる原動力になったと思います。
耐震プランナーについて
耐震・欠陥住宅チェックのプロフェッショナルとして活動するための資格「耐震プランナー」の育成カリキュラムは、一級建築士をはじめとした建築のプロが作成しました。資格取得のための講習会は、決して参加するだけではなく、実際に耐震診断の実施ができるプランナー(木造住宅耐震診断士) として活躍できるスキルとノウハウを習得してもらうことを念頭に置いています。
耐震プランナー講習会風景
耐震プランナーについて詳しく見る(NPO法人 日本耐震防災事業団)
講演会活動について
耐震防災の観点から地域安全化の活動の一環として出張講演活動を実施しています。商店会や町会、自治体など地域の耐震防災活動にご活用いただければ有難いです。講師は、「耐震の語り部」としては私が担当しております。過去の地震における被害データをふまえ、来るべき大地震に備える「今できる地震対策」についてお教えしますので、ぜひお気軽にお声かけください。
講習会風景
講演活動について詳しく見る(NPO法人 日本耐震防災事業団)
小口さんから読者の皆さまへメッセージ
100万人の命を一緒に救いませんか?
直近のリスクとして存在し続けている首都直下地震。この未曾有の災害から一人でも多くの命を救いたいと考えています。建築関連の業種の皆さまをはじめ、多くの方々に仲間となっていただくことが必要です。皆さまにぜひ「耐震プランナー」の資格を取得いただき、共に一棟でも多く、耐震化された建物を増やしていければと考えています。
取材を終えて:副編集長 大槻一敬
日本にはまだまだ「旧耐震基準」で建てられている建物も少なくありません。この基準では震度5程度の地震に耐えられるよう設計されているため、その脆弱性は言うまでもありません。現在の日本では、いつ、どこで大規模な地震に見舞われるか分かりませんが、そのリスクは高まり続けているように感じます。だからこそ、一人でも多くの目で、一棟でも多くの建物の脆弱性を指摘し、耐震化に取組んでいく必要があると感じました。