自立塾
団体紹介
自立塾は、個人の自立と成長を目指す教育・支援団体です。キャリア形成や生活スキルの向上を図る多彩なプログラムを提供し、受講者が自己実現に向けた確かなステップを踏めるよう、専門的なサポートを行っています。
HP https://jiritujuku.com/
該当SDGs 目標番号
インタビュー
自立塾 代表 市川潤子さん
松岡修造氏の一門が経営する医大予備校で浪人生のクラス担任を経験し、23歳で自立塾を設立。2024年には創立22周年を迎える。二児の母であり、株式会社リクルートスタッフィングで統括本部にてキャリア支援に従事。ラジオ番組レギュラー出演、新聞・エッセイ連載でコミュニケーション術を伝授。全国の教育機関や福祉施設で講演。講演やイベントプロデュースを手掛け、栃木県学習支援サポーター養成講座の運営局長を務める。
社会問題のデパートから
私が自立塾を立ち上げるきっかけとなったのは、数々の困難な経験から得た深い思いでした。私の生い立ちは、まるで「社会問題のデパート」のようで、DVやアルコール依存症、引きこもりの友人の悲劇、不登校やいじめ、さらにはヤングケアラーの経験など、多岐にわたる社会問題と向き合ってきました。これらの経験は私にとって非常に厳しく、また衝撃的でしたが、それと同時に、困難を抱える子どもたちを支えたいという強い思いを抱くようになりました。
私は4歳直前に養女として新しい家庭に迎えられ、なかなか環境に馴染めませんでした。そんな中、養父は常に家族を支え愛情をもって接してくれました。実母もまた、社会で生き抜く力を鍛えるために、私に対してユニークな教育を施しました。たとえば、朝食の前に雑巾がけを終えなければならないとか、保育園まで自分で歩いて通うことが求められました。こうした育て方は、私に自立心と社会での生き抜く力を培うものでした。これらの経験を通じて、社会で生きる力を身につけることの重要性を痛感しました。
自分自身の困難な経験を通じて、同じような苦境にある子どもたちが自立し、社会での未来を切り拓く手助けをしたいという気持ちが強くなりました。そうして、私は23歳で自立塾を立ち上げる決意をしました。この塾は、社会問題に直面している子どもたちに対して、自立へと導くための居場所と支援を提供することを目指しています。
このような背景と動機から、自立塾は今日まで、困難な状況に立ち向かう子どもたちをサポートし、社会での自立と成長を促進するために努力し続けています。自分自身の経験と学びを活かしながら、社会の変化に応じた支援を提供することが、私の使命であり、人生をかけて成し遂げたいと考えています。
子どもの悩みに気づくために
私が自立塾を立ち上げた背景には、困難を抱える子どもたちの自立支援という深刻な社会課題への取り組みがあります。現代社会では、不登校や引きこもり、外国籍の子ども、虐待や発達障害、貧困、ヤングケアラーなど、さまざまな困難に直面する子どもたちがいます。
これらの問題に対して、単に「可哀想」と片付けるだけでは解決にはなりません。現代の子育ては従来の方法とは異なり、共働き世帯が主流となり、親も心身ともに疲弊しています。子どもたちの悩みに気づき、適切に対応するためには、情報の精査や柔軟な対応が必要です。コミュニケーション能力を高めることで、子どもたちやその家族との信頼関係を築き、共に問題解決に取り組んでいます。社会全体で支え合い、未来を切り拓く力を育むための活動に全力を注いでいます。
「助けて」言えない背景は
私が取り組みを行う中で最も印象に残っているのは、引きこもりの子どもに会った時のことです。彼は顔面流血し、失禁している状態で、まさに自殺未遂の直後でした。その場にいた彼の親は、まるで何事もなかったかのように夫婦げんかを続けていたり、全く無関心でいたりしました。この状況に直面し、「今、何を優先する必要がありますか?」と問うことの重要性を強く感じました。緊急時には、共感や伴走よりもまずは命を救うことが最優先です。しかし、時には親自身がその異常な環境に慣れてしまい、危機感を失っていることもあります。
こうした親御さんには、一般論ではなく、個別の背景や経験に基づく対応が必要です。愛情の伝え方を知らない親もいれば、自らの幼少期に寂しい思いを経験し、その負の連鎖が続いていることも多いのです。「助けて」と言えない人がいること、そしてその背景にあるものを理解し、受け止めることの大切さを学びました。こうした現場での経験が、実践的な指導に役立っています。
また、私は今年の秋から、栃木県教育委員会と下野新聞社の支援を受け、栃木県学習支援サポーター養成講座の運営局長としての役割を担っています。この講座では、不登校や引きこもり、外国籍の子ども、虐待、発達障害、貧困、ヤングケアラーといった7つの分野に焦点を当て、問題を抱える子どもたちへの支援を行う指導者を育成します。知識の提供にとどまらず、実践的なロールプレイングを重視しています。
世界中の引きこもりとつながって
これからの展望として、引きこもりクラスの家庭訪問を通じて浮かび上がったモラハラ夫に苦しむお母さんたちの支援を新たな講演テーマにしたいと考えています。現場で感じた彼女たちの忍耐や優しさを尊重し、彼女たち自身が支えられるべきだと訴え続けたいです。また、世界中の引きこもりと直接つながり、現場での実態を伝える活動を強化することも目標です。
市川さんから読者の皆さまへメッセージ
いつもご支援いただき心より感謝申し上げます。困難を抱える子どもたちやその支援に関わる方々のために、コミュニケーションの重要性をお伝えしました。皆様がどんな困難に直面しても、一緒に乗り越えていけると信じています。私たちの人生の旅はこれからも続きますので、もしお手伝いできることがあれば、どうぞご遠慮なくお知らせください。あなたが一人ではないことを忘れず、共に成長し、喜びを分かち合いましょう。
取材を終えて:公認サポーター 鈴木智
自立塾を取材してゴール4の質の高い教育をみんなにというゴールに対しての個性的なアプローチをしているなと感じました。平等な教育機会の獲得というとき学校側の問題と捉えがちですが市川さんは児童や生徒自身の問題と生きる姿勢を教えるというもっと根本的なところをターゲットとしており、学生の期間より社会人のとしての時間が長いことを考えれば道理であると思います。地元の研究者と連携して社会人への再教育に取り組もうとしていることに感心しました。今後も注目したい取り組みでした。
<組織概要>
団体名: | 自立塾 |
設立: | 2003年 |
事業内容: |
・不登校や引きこもりの子どもたちへの個別対応の学習支援
・子どもたちの社会復帰を目指した支援活動
・家庭訪問による支援
・家族全体のサポート
・専門的な講座の提供
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URL: | https://jiritujuku.com/ |