ローカルSDGs アクションフォーラム

参加団体の活動紹介
SDGsで地域創生を 官民連携で深めるSDGsの絆 取材協力:大田原市
栃木県大田原市は、様々な市の行政方針をSDGsの達成に紐づけるなど、持続可能な地域づくりに向き合い、これを着実に進めている自治体です。今回は、栃木県大田原市の相馬憲一市長をはじめ、職員の方々に同市とSDGsの関わりについてお話をお伺いしました。

相馬憲一市長からのメッセージ

大田原市では、大田原市総合計画「おおたわら国造りプラン」において、持続可能なまちづくりや地域活性化に向けた取組みを、SDGsの理念に沿って進めることとしております。

本市は、那須五峰から広がる那須野が原の扇状地に位置し、水と緑に囲まれた自然環境に恵まれた地域です。また、工業団地をはじめとした産業も盛んであり、自然環境の保護と産業の振興を両立させたまちづくりを実施しております。

現在、世界各地において、地球温暖化を要因とした高温、局地的大雨や干ばつなどが多発し、地球全体の自然環境は大きく変化しており、地球温暖化対策は全世界で共通の課題となっております。

そのような中、国では2020年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。本市におきましても2020年7月にゼロカーボンシティ宣言を行い、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みを実施しております。

大田原市長 相馬 憲一
カーボンニュートラルの実現には、市の政策はもとより民間の取組みや技術、更には市民の皆様の協力が必要不可欠となります。今後は、官民一体となった環境政策を実施し地球温暖化対策、カーボンニュートラルの実現を推進してまいります。

大田原市長 相馬 憲一

大田原市のSDGsに関連する目標と主要な事業

第3期大田原市未来創造戦略より
≪基本目標1≫
活力ある豊かな大田原市をつくるとともに、安心して働けるようにする
【数値目標】
2027年度までの4年間の累計で240人の安定した雇用を創出する。

【施策概要】
◆新たなビジネスとその雇用創出による地域経済の活性化
◆分野別地域産業の競争力強化
◆UIJターンによる人材還流の推進と市内における地域経済の担い手の育成

【関連SDGsゴール】
≪基本目標2≫
大田原市とのつながりを築き、新しい人の流れをつくる
【数値目標】
2027年度までに転出超過数(2022年181人)を50%減少させる。

【施策概要】
◆大田原市への移住・定住の推進とつながりの構築
◆多様化する居住ニーズへの対応
◆地域資源を活用した観光振興
◆地方大学等の活性化

【関連SDGsゴール】
≪基本目標3≫
結婚・出産・子育ての希望をかなえる
【数値目標】
2027年度までに出生率を1.5まで回復させる。

【施策概要】
◆結婚・妊娠・出産・子育てへの切れ目ない支援
◆特色のある学校教育の充実
◆理想の子育て環境をつくるワークライフバランスの実現

【関連SDGsゴール】
≪基本目標4≫
ひとが集う、安心して暮らすことができる 魅力的な大田原市をつくる
【数値目標】
「大田原市の住み心地に満足している人(住みやすい、どちらかといえば住みやすいとの回答)の割合」及び「大田原市に愛着を持っている人(強く持っている、ある程度持っているとの回答)の割合」を向上させる。

【施策概要】
◆幸せ感向上の実現に向けた「知恵と愛のある協働互敬のまちづくり」
◆小さな拠点の形成による持続可能なまちづくり
◆人口減少による空き家・遊休施設等の有効活用
◆定住自立圏の取組による圏域の活性化
◆市民が担い手となる地域防災体制の充実

【関連SDGsゴール】
<SDGs関連業務ご担当者様インタビュー>

大田原市においてSDGsに関する取り組みを
推進しているご担当者の皆さまにお話をお伺いしました。

大田原市 市民生活部 生活環境課 課長 田上建二さん
大田原市 市民生活部 生活環境課
課長 田上建二さん
同 市民生活部 生活環境課 環境保全係 係長 川又健児さん
同 市民生活部 生活環境課 環境保全係
係長 川又健児さん
同 市民生活部 生活環境課 環境保全係 主査 白田真梨子さん
同 市民生活部 生活環境課 環境保全係
主査 白田真梨子さん
同 水道局 上下水道課 水道施設担当 主幹 菊地大路さん
同 水道局 上下水道課 水道施設担当
主幹 菊地大路さん
地球温暖化対策に関する具体的な施策を実施
2020年10月、国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。これを受けて、大田原市 市民生活部 生活環境課では、現在、地球温暖化対策など、SDGsに関する様々な取組みを行っております。まず、当市の主な取組みについてご紹介させていただきます。

①公共施設への太陽光発電設備導入
国の示す「地域脱炭素ロードマップ」において、政府及び自治体の建築物及び土地では2030年には設置可能な建築物などの約50%に太陽光発電設備が導入され、2040年には100%導入されていることを目指すとしています。本市においても、市本庁舎周辺庁舎に太陽光発電設備の導入を予定しています。

②公共施設への再生可能エネルギー設備等導入ポテンシャル調査
①と同じく国の示す「地域脱炭素ロードマップ」において、公共施設への太陽光発電設備の導入を目指すため、小中学校や地区公民館などの現況公共施設への導入ポテンシャル調査を実施しております。

③公共施設へのEV充電インフラ整備
国の示す「充電インフラ整備促進に向けた指針」に基づき、公共施設への電気自動車の充電器の設置を行っています。本事業は、設置業者が国庫補助金を受けて無償で設置・管理を行う事業であり、市は公共施設の設置場所を提供しています。

④クリーンエネルギー自動車購入費補助金
地球温暖化防止の推進及び災害時の非常用電源確保のために、電気自動車等のクリーンエネルギー自動車を購入された方に対して、その購入費の一部を補助している事業です。

⑤マイクロ水力発電事業
県北那須水道事務所から配水場へ送水される高低差を利用して発電する設備を設置し、売電収益の一部及び固定資産税の収入を得るとともにCO2排出削減を行う事業です。

⑥容器包装プラスチック分別収集開始
もやせるごみの減量化と資源の有効活用を目的として、容器包装プラスチックの分別収集を開始しました。

⑦啓発活動:「環境フォーラム」の開催
地球温暖化対策の一環として、普及啓発活動である「環境フォーラム」を毎年開催しています。当フォーラムには「こどもエコクラブ」による実践活動の発表であったり、eco実験パフォーマーを招き、楽しみながら環境問題を学習するというようなプログラムがあります。

「環境フォーラム」告知チラシ

地球温暖化対策に関する具体的な施策を実施

大田原市民の皆さまはSDGsや環境保全に関する意識が高いと思います。多くの方にリサイクルやごみ分別に対する配慮をいただいており、日々私たちもその姿勢を学ばせてもらっています。地元に帰ると、ご近所の方から分別に関するご質問をいただくこともあり、意識の高さを肌で感じております。

また、先日ガールスカウトの皆さまと一緒に植樹イベントに参加する機会があったのですが、そこでは皆さまの「植樹を通して森の大切さを考えていきたい」という想いに触れることができました。

これからも率先してSDGsに関する取組みを

市としてSDGsに関する成果を出していくためには、民間の皆さまのご協力が欠かせないと思うのですが、やはり私たち自治体こそが率先して取組んでいく必要があると思います。

大企業や中小企業から各家庭に至るまで、これからも、当市では皆さまができるだけSDGsに取組んでいきやすくなるような情報提供や様々な支援を行っていきたいと考えています。

まずは、環境基本計画の改訂に伴い実施する「市民・事業者アンケート」を行い、中小企業の皆さまや市民の方が、SDGsに取組むにあたり、市からどのような支援を必要としているのかを把握したいと考えています。

引き続き、大田原市の皆さまには、温かいご協力を賜れれば幸いです。